絶賛発売中の週刊朝日ムック『私が愛したスター 韓流ファンブック』
絶賛発売中の週刊朝日ムック『私が愛したスター 韓流ファンブック』

  韓流ドラマにハマると厄介だ。クセになる。後を引く。いくら仕事が忙しくてもやめられない。これまで多くの韓流スターにインタビューする幸運に恵まれ、その度にハマったフリーランスの坂口さゆり記者が垣間見た韓流スターたちのとっておきの素顔をご紹介したい。

*  *  *

 正直、見たくなかったのだ。「愛の不時着」を!評判を聞けば聞くほど、どれほどヒョンビンがときめかせてくれるのか、わかっていた。仕事を投げ出してドラマから離れられない廃人になったらどうしよう。四六時中ヒョンビンのことばかり考えるようになったらどうしよう。見る前からどんどん妄想が広がっていく。

 果たして、ドラマを見終わった時、思わず呟いた。「こんなに素敵な人がいていいんですか」。キュンキュンする心を抑えて、冷静に、真面目に、そう思ってしまった。

 筆者はヒョンビンが除隊した後、日本のメディアで最初に取材するという僥倖にあずかった。2013年1月のことだ。取材後に抱いた感想は、「愛の不時着」を見終わった時とまるで同じ。「こんなに素敵な人がいていいんですか」だった。

 アラフォーになったヒョンビン(37)だが、「愛の不時着」でも「顔天才」と言われるイケメンぶりはアラサー時代と変わらない。ヒョンビンが演じた眉目秀麗、文武両道の北朝鮮のエリート将校、リ・ジョンヒョクは、取材で感じたヒョンビンの印象と見事なまでに重なった。何しろ兵役では韓国人男性が「陸軍よりきつい」と言う海兵隊に、ヒョンビンは自ら志願。海兵隊を選んだ理由をこう語った。

「今までやったことのないことに挑戦してみたかったんです。役に対する挑戦と同じようなもので、自分の限界に挑みたかった。なんの迷いもありませんでした」

 当時は多くの芸能人男性が陸軍の芸能兵になるなど、少しでも兵役を軽くしようとするのに、ヒョンビンは違う。そんな話を直接聞けば、「愛の不時着」のジョンヒョクにヒョンビンの生き方が被って見えてしまう。ジョンヒョクの高潔さは、まさにヒョンビンから漂う品格そのもの。死に瀕する恋人を食事も取らず、寝もせず、ただひたすら同じ場所に立ち続けてじっと見守る。所詮ドラマだから、とわかっていても、ヒョンビンならそんなことをしてくれるかも、と妄想してしまうのだ。

次のページ
部屋出た途端、息も忘れ、腰砕け…