ある官邸筋は「ポスト安倍の主導権争いにコロナ対策が舞台になっている」と明かす。

 もっとも、警察力投入は風俗警察の現場から戸惑いの声も上がる。風営法に基づく立ち入り調査は営業実態を調べるものであって衛生面の指導は出来ないからだ。

「現行法の拡大解釈、警察権力の濫用などと言われる場面もある。そう指摘されると警察としては反論しづらい部分もある」(捜査関係者)

 こうした声をよそに政府は更なる強権的対策に乗り出している。厚労省の通知と警察庁の通達によれば、連絡がつかず自宅や勤務先への訪問でも行方が確認できない感染者を対象に管轄の保健所長が感染拡大防止に必要と判断した場合、警察署に行方不明者届を出すことができるようになった。もちろん警察では対象者のプライバシーに十分配慮した上で、立ち回り先などを調べるという。

 風営法に基づく警察の立ち入り権限を盾に、末期の政権がなし崩し的に「ファッショ化」するのはいただけない。

(野田太郎)

※週刊朝日オンライン限定記事