性的虐待という教会の大スキャンダル、告発の行方は? ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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性的虐待という教会の大スキャンダル、告発の行方は? ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作

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監督 フランソワ・オゾン/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/137分(c)Jean-Claude Moireau

監督 フランソワ・オゾン/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/137分(c)Jean-Claude Moireau

監督 フランソワ・オゾン/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/137分(c)Jean-Claude Moireau

監督 フランソワ・オゾン/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/137分(c)Jean-Claude Moireau

 ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」。新作を発表するたびに、世界中の映画ファンを、まったく違う世界へいざなうフランソワ・オゾン監督(「8人の女たち」「スイミング・プール」など)が、フランスで現在も裁判闘争中の“プレナ神父事件”を描く意欲作だ。

【写真】映画「グレース・オブ・ゴッド」の場面カットはこちら

 2014年フランス。妻と子供たちと共にリヨンに住むアレクサンドル(メルヴィル・プポー)は、幼少期に自分を性的虐待したプレナ神父が、いまだ子供たちに聖書を教えていることを知り、家族を守るため過去の出来事の告発を決意する。

 最初は関わりを拒んでいたフランソワ(ドゥニ・メノーシェ)、長年一人で傷を抱えてきたエマニュエル(スワン・アルロー)ら、同じく被害にあった男たちの輪が徐々に広がっていく。しかし、教会側はプレナの罪を認めつつも、責任は巧みにかわそうとする。アレクサンドルたちは信仰と告発の狭間で葛藤しながら、沈黙を破った代償──社会や家族との軋轢とも闘わなければならなかったのだが……。

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
非難されれば教区の配置換え程度でお茶を濁してきたカトリック教会、神父の児童に対する性的虐待問題を被害者が告発する。明らかに犯罪なのに、処罰できない信仰の世界の微妙なあり方を見れば、被害者がただ気の毒だ。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
教会の暗部にメスを入れることよりも、被害者たちの苦悩を掘り下げることに力点を置いた構成が際立つ。沈黙を破るまでの葛藤と告発によって生じる軋轢。事件から告発に至る時間の重みがひしひしと伝わってくる問題作。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
こういう問題は何度も映画化されていますが、毎回誤魔化す神父たちを見て呆れを通り越して言葉も出ない。自分の立場を利用して人の人生を潰し、シレッと知らんぷり。オゾン監督らしくないけど、やっぱり引き込まれた!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
静かに告発しながらもパワフルな映画。監督が自ら書いた、3人の被害者に順番に焦点を当てる脚本の構成が特異ながらも効いている。社会的に大きな事件の渦中に観る者を連れ込み考えさせる、映画ならではの力を実感。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2020年7月31日号


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