新型コロナ対策は後手後手の安倍首相 (c)朝日新聞社
新型コロナ対策は後手後手の安倍首相 (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルス感染症を巡り、政府の専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)は3月9日、国内の状況について「持ちこたえている」と説明した。しかし、PCR検査は保険適用になったにもかかわらず、遅々として進んでいないのが現実だ。現場で一体、何が起こっているのか?

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「PCR検査の体制整備の遅れは、すべて感染研に問題がある」

 こう厳しく指摘するのは医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師だ。そしてこう続ける。

「驚くことに、日本の新型コロナウイルス肺炎による致死率は、上海、北京に比べはるかに高い。なぜかと言うと、それはこれまでPCR検査を広く行ってこなかったからです」

 たしかに、お隣の韓国は、今回の新型コロナ騒ぎで1日当たり5千~1万4千人のペースで検査し、2月末時点で計約7万8千人の検査を終えたという。

 日本では、一日に約3800件の検査ができるとされていたが、2月18日から23日までに行った検査は計約5700件だったと、衆院予算委員会で報告された。保健所が医師の検査依頼を拒んだ事例が、少なくとも計30件あったことも日本医師会の調査で明らかになった。

 検査体制の見直しを求める声におされてか、政府は、それまでは法律に基づき、保健所が認めないと実施できなかったPCR検査に、3月6日から健康保険を適用し、民間の検査会社などでも実施できるようにした。

 しかし、なぜこの時期まで、検査の幅を広げなかったのだろうか。それについて上医師はこう述べる。

「それは、感染研の目的が感染者の治療ではなく、研究にあるからです」

 今回の新型コロナ対策では、感染研に9.8億円の予算が付けられている。本来なら、それを使って感染者の広がりを知るためのサンプル調査をしたり、民間にPCR検査を依頼したりしてもよかったはず。それらをしなかったのは、すべては自分たちの研究のためで、PCR検査のデータを独占したかったから、との見方も出ている。

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