マタハラ裁判で勝訴した原告女性の主張はなぜ、高裁で否定されたのか 【裁判ルポ】

2019/12/04 18:12

 一般的に「育児短時間勤務」といえば1日6~7時間労働だが、同社の正社員はもともと所定労働時間が7時間と短く、週5日勤務を条件に1日4時間の時短を可能とした。それに加え、1年更新の契約社員として週3~4日、1日4~6時間の働き方も設けた。雇用形態を示す表には「契約社員(1年更新)は、本人が希望する場合は正社員への契約再変更が前提」とされた。

 2013年、女性は都内で女児を出産。1年の育休中に預ける保育園がなく、育休を半年延長した。それでも保育園が見つからないと、休職を申し出たが認められず、会社の新たな制度を利用して、土日と平日に1日の週3日、1日4時間勤務の契約社員として復帰することになった。正社員の時の月給は、みなし残業代込みで約48万円。契約社員の労働時間数では月給が約10万円になることから、女性は早期の正社員復帰を望んだ。

 14年9月に復帰後の初出社を迎え、その5日後、女性は「申し込みをしていた保育園十数園のうちのひとつが10月から空きが出るとの連絡を受けた」と、上司に10月から正社員に戻ることを要望した。しかし、既に複雑なシフトが組まれていたこともあり、会社側は「すぐには難しい。まずは週3日で慣れてからにしてはどうか」と返答した。ここから、円満だった両者の関係が変わっていく。

 「希望すればすぐに正社員に戻れるはず」と納得いかない女性は、労働局と、個人加盟できる労働組合の女性ユニオン東京に相談。10月に同ユニオンの組合員となり、「保育園が決まったのだから、正社員に戻してほしい」と団体交渉を行った。女性は、平日日中だけのコーチ以外の業務や土日だけのコーチ業務を要望したが、社員数20人規模では女性の思うように話は進まない。マタハラ被害を受けたとマスコミ取材を受けるようになり、それを女性自身が同僚に明かした。女性は上司や社長との面談のほか執務室でも常にスマートフォンのボイスレコーダーをオンにし録音する状態になる。

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職場での録音行為の評価

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