この数字で判断すると、世論調査を受けた国民の70%近くが、「ポスト」の特集に、あまり違和感を覚えないことになるのではないか。
そして、「ポスト」はその70%の国民に向けて特集を組んだ。強いて言えば、政府の政策を強めに打ち出したつもりだったのであろう。
おそらく、今回の「ポスト」の売れ行きはよかったはずである。そして、「ポスト」編集部は「配慮に欠けていた」と謝罪のコメントを出してはいるが、これはいわば形をつけただけではないか。
このところのテレビのどの番組を見ても、安倍内閣の強硬な対韓政策を肯定していて、批判らしい批判をしている番組はほとんどない。
かつて高名な評論家、山本七平が「日本は空気を破るのが最も悪いことで、空気を破ると生きていけない」と言ったが、この言葉が、その後どんどんリアリティーを増している。
現在の安倍政権は一強多弱である。野党が分裂していて弱く、自民党議員たちが安倍首相のイエスマンになっているので、森友・加計疑惑などが起きても、聞く耳を持たずにやり過ごしてしまう。すると、メディアでも同調圧力が強くなり、安倍政権批判をすると、空気を破るような危険性を感じてしまうのだろうか。まことに情けないかぎりである。何としても空気を破る番組をつくらなくては、と自分を恫喝し続けている。
※週刊朝日 2019年9月20日号