ゴーン前会長を巡っては、経営トップを務めていた仏ルノーが内部調査を進めていたところ、オマーンの販売代理店への支払いに不審な部分が見つかり、仏検察当局に通報したと発表している。これが今回の逮捕とも連動しているのではないかと、郷原弁護士はみている。ルノーは経営面で日産と「いつまでも対立しているわけにはいかない」とした上で、「ルノーが日産に頼まれたからではないか」と推測する。


 今回の逮捕を受けた今後の展開について、弘中弁護士は「公判日程に影響があって、長期化すると思う」と話している。

 一方、ゴーン前会長の役員報酬を過少に有価証券報告書へ記載したとして昨年11月、ゴーン前会長とともに逮捕された日産前代表取締役のグレッグ・ケリー被告は再逮捕から10日後、東京地裁が検察側の勾留延長請求を却下。5日後の12月25日、容疑否認のまま早期保釈が認められた。この金融商品取引法違反の裁判は粛々と進んでいくとみられる。郷原弁護士は「ケリー氏に無罪判決が出れば、ゴーン問題はとんでもないということになる」と述べ、注視していく必要があると話している。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2019年4月19日号