パワハラを認めなかった報告内容も疑問だという。

「パワーを持っている人が不適切なことを言っていると認定していながら、『パワハラじゃない』という。委員会の定義に当てはまるのがパワハラならば、世界にパワハラはない。弁護士の論理では成り立っていても、それで幸せなスポーツ環境が成り立つか? 違いますよね。スポーツをどう育てるかという論理を考えていない。パワハラを考えるならば、被害者の側に立たないといけないが、それもできていない。スポーツを考える初歩の段階で、間違っている」(玉木さん)

 今後心配なのが、宮川選手を応援した体操界OB・OGへの影響。2012年ロンドン五輪で団体8位入賞だった田中理恵さんは「私もさえのためにも、選手たちのためにも、協力します」と公式ツイッターに投稿。ソウル・バルセロナ五輪メダリストの池谷幸雄さんは、テレビ番組などで塚原夫妻に厳しい発言をしてきた。

 体操界を変えようとあげた声が封じられ、再び闇の強権体制へ。国民からそう思われないように、体操界の体質を転じてほしい。(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2018年12月28日号