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Q がんの疑いがあると言われた

A 実際にはがんではないこともよくあります

 気になる症状があって受診したり、検診を受けたりした結果、医師から「がんの疑いがある」と告げられると大きなショックを受けるでしょう。

 ただし、“疑い”の段階なのでそれをはっきりさせるために、精密検査を受けることになります。例えば胃のX線検査を受けて、がんを疑わせる影があっても、本当にがんによる影なのかはわかりません。そこで内視鏡検査などで、より詳しくみていきます。

 疑わしい所見があると、検診では「要精密検査」となりますが、検査の結果、実際にがんと診断されるのは数パーセントです。

 避けなければならないのは、疑いがあると言われたのに精密検査を受けないこと。実際にがんであることは少なく、早期であるほど治る可能性が高いことを理解して必ず検査を受けましょう。

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Q 悪性と良性の違いは?

A 良性はほかの臓器や組織に浸潤・転移しません

 腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。悪性の場合、細胞が限りなく増殖していき、周囲の臓器や組織に広がったり(浸潤)、血液やリンパ液の流れにのってからだのあちこちに新しいがんをつくったり(転移)します。良性の場合、一般的に増殖のスピードが緩やかで、浸潤や転移は起こりません。

 悪性か良性かの区別は、画像を見ただけでは判断できないこともあります。このため、複数の検査を組み合わせて、判断していきます。

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Q 良性なら心配しなくてもいい?

A 心配いりませんが一部のものは悪性化することも

 検査の結果、良性と診断されたなら心配する必要はありません。通常の定期検診を受けていれば、問題ないでしょう。

 ただし大腸の腺腫(ポリープ)などのように、将来的に悪性化する可能性がある腫瘍もあります。大腸の腺腫の場合、大きくなるほどがん化のリスクが高まるので、6ミリ以上の大きさになると内視鏡治療で切除することが推奨されています。

 このようにがん化の可能性がある場合は、定期的な受診が大切です。

【監修】
グランドハイメディック倶楽部理事
森山紀之医師

埼玉県立がんセンター腫瘍診断・予防科長兼部長
赤木 究医師

(文/中寺暁子)

※週刊朝日ムック「がんで困ったときに開く本2019」から