10月23日の引退会見でも「気遣いの人」だった福原愛(撮影・大塚淳史)
10月23日の引退会見でも「気遣いの人」だった福原愛(撮影・大塚淳史)
笑顔を見せる愛ちゃん(撮影・大塚淳史)
笑顔を見せる愛ちゃん(撮影・大塚淳史)

 卓球の福原愛(29)が現役生活を終えた。

【気遣いだけでなく、笑顔も素敵な愛ちゃんはこちら】

 都内で引退会見(10月23日)を行ったが、その言葉の節々から感じられたのが、周囲の人への気遣い、配慮だった。会見の冒頭で、卓球の試合で印象に残ってることについて聞かれた愛ちゃんは次のように答えた。

「初めて全日本選手権を優勝した時に表彰台から見えた景色と、あとはロンドン五輪、リオ五輪でメダルを獲得して、そのメダルを皆さんにお見せしたときに、喜んでいただいている皆さんの笑顔です」

 五輪でメダルを獲得したことよりも、「皆さんの笑顔」を挙げたのは意外だった。

 質疑応答では、出身地の宮城県のメディア、中学高校と過ごした青森県のメディアから、それぞれ地元向けにコメントを求められ、両県に配慮したコメントをしていた。

 昔から愛ちゃんは「気遣いの人」だったという。彼女が15歳の頃から約3年間密着取材した元テレビ局ディレクターの小林純子さんはこう懐かしむ。

「愛ちゃんは、昔からみんなで集合写真とか撮影する際に『私が撮ります!』と率先して動いてました(笑)」

 一方で、日本人選手に対する気遣いが、勝負事の上で邪魔になっていたとも見る。

「愛ちゃんは日本選手権で優勝が遅かったのには、優しさがあったかもしれません。ランキングが高くて、海外では勝っているし、努力家で実力がある選手なのに。人気スポーツ選手の内に秘めた葛藤があるように思いました。密着取材は良いことも悪いことも記事にしなければなりません。選手が活躍できるサポートがしたい。私の転職のきっかけは、愛ちゃんでした」

 愛ちゃんの配慮ぶりを感じさせたのが、中国と台湾に対してだ。21日にインターネット上で引退発表をした際、ブログでは日本語、フェイスブックでは台湾語(繁体字)、中国版ツイッターの新浪微博では中国語(簡体字)と言語を使い分け、しかもそれぞれ内容も、一部書き分けていた。

 基本的には簡体字の中国語で、あるいは繁体字の中国語のどちらか一方で書いても十分伝わるにも関わらず。台湾・台北に住む日本人が、愛ちゃんに関する興味深い話をしてくれた。

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愛ちゃんに関する興味深い話とは?