TBS系列ではこれまで、真田広之主演の「高校教師」(1993年)や、松嶋菜々子と滝沢秀明の「魔女の条件」(99年)を放送してきており、教師と生徒の恋愛ストーリーには実績がある印象がある。

 ドラマの視聴者は40代の女性が中心。前出の2作に見入った人も多いだろうが、自分の恋愛体験を振り返っても、「中学生で、しかも教師相手に」というのは、まったく想像がつかない人もいるに違いない。「『高校教師』を見ていた視聴者は、『2人に幸せになってほしい、でもどうなる?』という“見守り型”でストーリーについていった。でも今回は違う」と碓井教授は言い切る。

「ましてや、40代女性には中学生の息子がいる人も多いでしょう。その人たちからすると、聖は敵です」(同)

 むしろ共感できる役がいるとすれば、晶の母・愛子ということか。

 さらに碓井教授は「原作漫画と同じタイトルにしたのは失敗ではないでしょうか」と、タイトルにも言及する。「中学聖日記」というタイトルは、「中学“生”日記」や「中学“性”日記」を連想させる。現に、編集部のおじさん記者たちは、タイトルの響きで「中学“性”日記とは……」と絶句していた。

「私のゼミの女子学生たちは、お母さんと一緒にドラマを見る子が多いんです。ただ、このドラマに関しては、親子の会話が成立しにくいんです。お母さん、『中学聖日記』見ようとか、娘に対して、今夜は『中学聖日記』ね、とか。タイトルからして垣根があります」(同)

 舞台となる片田舎の町・子星平の風景は美しいし、婚約者の上司である律役の吉田羊が演じるバイセクシュアルの役柄も魅力的だ。番組スタッフ陣を見ても、演出とプロデューサーは、第55回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞を受賞した「アンナチュラル」の最強タッグだ。同作を見て期待を寄せていた視聴者もいるだろう。

「こうした条件があるのに、もったいなくて仕方がない。禁断と純愛のヒューマンラブストーリーである以上、このドラマはこれから先、女性教師が男子中学生に手を出した、ではなく、なんとか純愛にしなきゃならない」(同)

 後半はドラマオリジナルストーリーにしていくと表明している。巻き返しの見込みはあるのだろうか……。
(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事