しかし、90年前後に秋山、清原、デストラーデと並んだクリーンアップは球団史上最高とも言われたが、もはや歴代最高は今年の打線だろう。下位打線に中村やメヒアを置ける。たとえ1試合の安打数が5~6本でも、そのうち2~3本がホームランといった試合もあった。相手投手には恐怖が芽生える。

 ソフトバンク日本ハムのどちらがファーストステージを勝ち上がっても、絶対にやってはいけないのは“細かすぎる”指示である。バッテリーが細かく分析し、間違ってはいけない、やってはいけないといった要素が増えれば増えるほど、投手から大胆さが消える。マークすべき選手が1人か2人ならそれでもいいが、西武打線はどこからでも点が取れるし、長打も出る。一発で局面打開できるのだから、先発投手には、2~3点取られても大丈夫、という心理的なゆとりを持たせることだ。

 個人的にMVPを挙げるとすれば、山川だ。強引に振り回しているように見えるが、下半身がクッションのように柔らかい。リストの強さも改めて感じた。よくここまでの選手になったと感心する。右投げ左打ちの選手が増え、右の大砲がなかなかそろえられない他球団にとっては、うらやましいかぎりだろう。

 パの2位はソフトバンク、セはヤクルトに決まった。今年は打率も3割5分を超える首位打者が出そうだし、本塁打も両リーグで40発を超えそうで、打高投低である。やはり、両リーグで圧倒的な力で優勝した広島と西武がポストシーズンの本命となる。西武と広島の日本シリーズなら、91年以来となる。楽しみに待ちたい。

週刊朝日  2018年10月19日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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