猛暑の疲れは秋まで引きずらぬようご用心 (c)朝日新聞社
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薬味たっぷりシュウマイ
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 記録的な猛暑に見舞われたこの夏だったが、秋風が吹いてきても、なんだか体がだるい、食欲も湧かない……。その症状、夏バテを引きずる「秋バテ」かもしれません。

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 まずは夏バテについて。夏バテは早ければ梅雨の初めごろに発症し、高温多湿が原因で食欲がなくなったり、疲労感や倦怠(けんたい)感に見舞われたりする。胃腸が弱く、体が細い人がかかりやすいイメージがあるが、冷房や扇風機、冷感グッズを使うことで解消につながる。

 ところが、暑さが収まり、秋を迎えても食欲不振が続き、疲れがとれず、「バテ」に襲われる。これが「秋バテ」だ。麻布ミューズクリニック(東京都港区)の名誉院長である渡辺賀子医師は、次のように解説する。

「2007年ごろ、涼しくなる秋口に食欲が落ちたり、せきが続いたり、不調を訴える人が多いな、と気づきました。夏バテは同じ人が毎年かかることが多く、夏バテ対策の漢方薬もあります。これに対し、秋バテは『自分は暑くてもバテない』と自信がある人がかかりやすく、放置すると免疫力が低下して感染症のリスクが高まる可能性もあります」

 秋バテの原因として、渡辺医師は自律神経のバランスを崩しているのが大きいとみる。自律神経が正常に反応する室内外の温度差は7度まで。ところが夏は冷房が利いた室内と屋外の温度差が10度を超えることが日常的だ。この温度差が秋バテを発症させているようだ。

「自律神経はストレスの影響を受けやすい。心理的ストレスだけでなく、温度差ストレスや体が冷やされる寒冷ストレスもそう。“気のせい”ではないんです」(渡辺医師)

 自律神経を乱している要因は主に二つある。一つは冷房だ。多くの地域で「クールビズ」が始まる5月、早くも冷房のスイッチに手が伸びる人もいるだろう。一度使い始めるとエアコンの「除湿」でしのぐのは難しく、9月まで使う人もいるのでは。長期間の冷房使用で体が冷えて、秋バテに陥るという。

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