


ふくらはぎは、立って歩く機能だけでなく、全身の血流を担っている「第二の心臓」だ。人生100年時代を生き抜くため、しっかり鍛えておく必要がある。誰でもできるストレッチと筋トレの方法を紹介する。
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下肢静脈瘤やむくみを予防・改善するには、ふくらはぎのストレッチと筋トレが効果的だ。
「ふくらはぎの外側に見えているのが腓腹(ひふく)筋で、その下にヒラメ筋が隠れています。足首を曲げ伸ばしすることで、この二つの筋肉が伸び縮みして血液を上へ押し上げます」
スポーツトレーナーの坂詰真二さんはそう説明し、イスに座った楽なストレッチを教えてくれた。ポイントは腰や足に負担をかけずに、かかとを上げ下げすることだ。
「1回1分間を目安に1日に何回やっても構いません。長時間立ち続けたり、デスクワークが続いたりしたときに短時間でもやれば、血流を促すことができます」
筋トレは、イスの背もたれをつかんで立ってする方法だ。筋力を維持したい人は週1回、強化したい人は週2、3回。過度な筋トレは逆効果なので、やりすぎるのは良くない。
こうしたストレッチや筋トレ以外でも、日常生活の中で鍛える方法がある。
「ふくらはぎの筋肉は歩いているだけでも使われています。ところが、定年後は通勤の必要がなくなって歩かなくなります。高齢になるにつれて座りっぱなしになる人も多いので、意識してふくらはぎを動かしましょう」
ふくらはぎを日常生活で鍛えるポイントについて、坂詰さんはこう補足する。
「お年寄りに多いのが1歩の歩幅が狭く、ちょこちょこと歩いて回転が速い歩き方。足首を動かす角度が浅くなります。歩幅を広めにすることを意識して、しっかり足首を曲げ伸ばしして歩きましょう。スリッパでペタペタと擦りながら歩くのは、足首が使われないので素足のほうがいいです。貧乏ゆすりも足を動かすことにつながります。自転車のペダルにつま先を置いてこぐのもいいですね」
老化に伴って血管が衰えても、周囲の筋肉はちょっとしたトレーニングで維持できる。激しい運動でなくても、継続していくことが健康なふくらはぎを保つ王道だ。(本誌・岩下明日香)
【ふくらはぎを日常生活で鍛える】
【1】ゆっくり大きく歩く
【2】家ではスリッパを履かない
【3】貧乏ゆすりはやめなくていい
【4】テレビを見ながらストレッチ
【5】自転車に乗る
※週刊朝日 2018年8月3日号