幸いなことに私自身、味覚障害はごく軽く、食べる障害にはなっていない。私のがん生活にとって、食事制限は一切ない。食欲も旺盛で、3度の食事を毎回十分に楽しんでいる。規則正しい食生活を送っているといえよう。よく行われる会食でも外食でも、同伴者が驚くほどの健啖家(けんたんか)ぶりを発揮している。これが間違いなく、私が健常者並みの生活を送れ「元気に生きる」源になっていると思う。「がんとの共存」の最大の武器であろう。

■毎朝のストレッチとプールでの水中ウォーク

 私は元来アウトドア派で、スポーツ大好き人間である。学生時代に山岳部に属し四季折々、山々を踏破した経験がいまでも色濃く体内に残っている。がんに罹患する前は、四谷にあるスポーツジムに週2回のペースで通い、それ以外の日にも近所をジョギングしていた。スキーシーズンには、がん発覚直前まで合わせて1週間から10日間ほどを蔵王、志賀高原、八方尾根などで昔の若い仲間と滑降の醍醐味を味わっていた。

 毎朝起きるとすぐに、筋トレをかねてストレッチを20分ほどしてから、ステップマシンを10分踏む。これは40年ほど前に腰痛を患い、それ以来、腰痛体操の代わりに始めたものだ。それ以来、飽きもせずに毎朝の習慣として体にしみついている。この起床時のストレッチと次に述べるウォーキングは、家にいても手軽にできるので大切にしている習慣である。

 在宅の日は天候にかかわらず、基本的にウォーキングに出かける。一昔前はよくジョギングをしたが、いまは年齢を考えて速足のウォーキングに変えている。コースとしては、雑司ケ谷墓地の格子に張り巡らされた小路(こみち)を、順次たどることになる。アスファルト舗装でない土の道は膝や腰に優しくて、自然により密着する感じになる。大体30~40分続けると、冬でも汗ばみ、体が軽くなって食事も進むことになる。

 ウォーキングのほか、気が向けば近所の区立体育館にあるプールに行くこともある。民間ジムより施設は劣るが、このプールが好きなのだ。高齢の利用者が増えたこともあり、水中ウォークのために1コースが設けられている。そこを800メートルから1キロほど、のんびりとスタイルを変えて歩く。水圧がかかるだけ筋肉がほぐれ、体全体に血液が駆け巡る気分になる。いかにも免疫力が増え、元気が出るという思いがする。
 

次のページ
小太りのほうが長生きする?