

幼い子犬や子猫たち。その心身が健やかに育つように、販売規制の強化が議論されている。その材料となるデータが“改ざん”された疑惑が浮上している。ペットの業界団体が環境省にいったん出したアンケート結果を撤回。業界側に都合のいい回答になるよう「誘導」し、差し替えたというのだ。
【資料】1回目と2回目でこんなに違う!疑惑のアンケート結果はこちら
ペットの販売方法について規制しているのが動物愛護法だ。今年は5年に1度を目安に改正を議論する年に当たる。改正の最大の焦点になっているのが、生後すぐには子犬・子猫を販売できない規制の強化だ。
あまりに早く親元から引き離すと、攻撃的な行動などを起こしやすくなり、健康面でも問題があるとされている。動物愛護法の前回の改正で、2013年から生後45日、16年以降は49日まで、販売できないようになった。これを8週間(56日齢)まで延ばすことが議論されている。
欧米では8週間の規制が一般的だが、日本ではペット業界の反対もあって49日の規制にとどまっている。子犬や子猫は幼いほうが消費者に人気で、飼育のコストを抑えるためにも、ペット業界は一日でも早く売りたいのが本音だ。
こうした中、ペットショップなどでつくる一般社団法人「全国ペット協会(ZPK)」が、環境省の中央環境審議会動物愛護部会に3月に提出したアンケート結果に、疑惑の目が向けられている。
ZPKはペットショップや繁殖業者などを対象に、「犬・猫などの販売・流通に関するアンケート」(有効回答755件)をした。それによると、販売規制が45日から49日に強化されたことで、健康状態や社会性が「悪化傾向にある」となっている。49日から56日に規制が強化されることにも、否定的なものになっている。
子犬や子猫を生後まもなくに販売しても問題はないという、業界側の主張を裏付けるようなものだ。国内外の調査では早期販売には問題があると指摘するものが一般的で、それとは反対の結果になっている。