この結果をもとにZPKの脇田亮治専務理事は、3月26日の動物愛護部会で、「(繁殖業者から出荷されるまでの日数が)4日増えたことにより、出荷時の子犬・子の健康状態が悪化傾向にある」などと説明。ほかの委員に規制強化の問題点をアピールした。

 これに対しては委員から「有意義な情報だ」などといった声が上がった。日本獣医生命科学大学の水越美奈准教授はこう評価した。

「週齢だけではなく環境や状況も含めた議論がまさに必要だということを、この結果から思いました」

 しかし、驚くべきことにこのデータが“改ざん”されていた可能性がある。

 記者はZPKが今年1月、環境省に提出したあるアンケート結果を入手した。「ペット販売及び流通に関するアンケート」というタイトルで、有効回答数は564件。ZPKが3月に出したものとは逆の印象を抱かせるデータが並ぶ。

 その内容を見ると規制強化に伴う子犬の問題行動について聞いた質問で、1月に出した最初のアンケートと、3月のものとでは数値が大きく異なる。子猫の問題行動について聞いた質問でも、同様の結果になっている。

 子犬や子猫の健康状態に関する質問でも、最初のアンケートでは規制強化したほうが良くなる傾向のほうが強かったのに、3月のものでは悪くなる傾向だった。

 規制強化の経営へのダメージについての質問でも、最初は影響がないという傾向だったのに、3月の結果では悪い影響があるという傾向になっている。

 環境省によると、ZPKは最初のアンケート結果を1月に送った数日後に、取り下げと新たなものに差し替える方針を伝えてきたという。環境省は二つのアンケート結果について、「印象がかなり異なることは認識していた」としている。

 短期間で「業界に有利なデータ」に差し替えられたのはなぜか。業界関係者によると、規制強化に反対するあるZPK幹部が最初のアンケート結果を見て、「こんなんじゃダメだ」などとして、後日再調査を指示したという。

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