炎上にさらに油を注いだのが次のつぶやきだ。

<旧帝大で文系が57.5とか、千葉大?ちょっとありえない……これまで東大出を鼻で嗤う「異様に優秀な東北大出の役人」「同九大出」には結構出会っても、蝦夷地からは皆無だった理由がいま解りました>

 このツイートに、ネット上は「学歴主義の差別だ」と大荒れ。騒動が大きく広がった11日、古野氏はこんなツイートを残し、アカウントを削除した。

<身辺に危難が想定され始めました。モノ言うのも命懸けですね。(中略)本信の周知期間を置いて、お休みします>

 発言の代償は大きかったようだ。通販サイトAmazonの作品レビューには「東大卒以外には、難しくて読みこなせません」「帯に東大出身者のみ閲覧可と書いたらどうか」と、星一つがずらりと並ぶ事態に。

 騒動について、北大の推理小説研究会側に聞いた。「当サークルと古野まほろ先生ご本人との問題です」「収まりかけていた火種が再発する危険性もある」として、取材に応じられないとの返答だった。

 古野氏の真意を聞こうと著作がある出版社に問い合わせると、「覆面作家として活動しており、その件やプライベートな面はお答えできない」「彼の作品を読んで判断してほしい」との回答。作品をかつて称賛した書評家も「デリケートな問題なので触れづらい」。

 作品に批評はつきもののはずだが、何が古野氏を闘争に駆り立てたのだろうか。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2017年12月29日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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