諮問書が出された背景には、村議のなり手が不足し、議会が存続の危機に追い込まれていることがある。

 現在6人いる村議の平均年齢は71歳。15年にあった前回の村議選では、無投票で全員が当選した。現職のうち数人は次回は出馬せず引退する意向だというが、代わって新たな候補者が現れるかどうかは未定だ。

 大川村のような人口が極めて少ない自治体の議員の生活は、運転手つきの高級車で動き回る国会議員のようなイメージとは大きく異なる。村議の報酬は月15万5千円。ボーナスに当たる期末手当と合わせても、年収は230万円ほどでしかない。国会議員ならば月額100万円支給される「文書通信交通滞在費」などの手当もなく、議員活動の経費は自腹でまかなわねばならない。

 経済的にかなり苦しい条件だが、さらにハードルを高めているのが議員の兼職・兼業制限の規定だ。大川村の村議6人のうち5人は農業や農林業との兼業。公務員や、所属する地方公共団体の仕事を請け負う業者などは議員になることができないのだ。大川村の筒井誠副村長がこう語る。

「議員になると、議会への出席などで最低でも年間72日間は拘束されます。制度上は議員と兼業できる民間企業の会社員でも、数人でやっているような事業所では、一人でも抜けられると仕事に支障が出るという声があります」

 14年に群馬県から大川村に移住し、地元女性と結婚した村嘱託職員の和田将之さん(27)はこう語る。

「これから子育てなどを考えなければならない若い世代は、議員報酬だけで生活していくのは難しいと感じています。自立して生計を立てられる人が増えないと、議員のなり手も増えないのではないでしょうか」

 こうした難題が立ちふさがる中、“究極の解決策”として持ち上がったのが村民総会の設置だったのだ。

 だが、ここでもまた、大きな壁が立ちふさがった。伊東喜代澄村議(77)は、村独自の判断だけでは進められない事情があるという。

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