国会質疑での野党の質問時間を削減しようとする自民党。その提案に異議を唱えるジャーナリストの田原総一朗氏は、そもそも野党の質問時間が長い理由を解説する。
* * *
この原稿を書いている11月2日の時点では、読者の一番の関心は5日に来日するトランプ大統領が、安倍晋三首相に何を求めるか、ということであろう。麻生太郎副総理が米国でペンス副大統領とロス商務長官に、経済の問題で厳しく攻められたようだ。トランプ大統領が、その点で安倍首相に厳しい注文をするのではないか、と官邸は警戒している。そして重要なのは、北朝鮮問題で、安倍首相に何を求めるか、ということだが、この記事が読者の元に届くころには、トランプ大統領は日米首脳会談を終えて韓国に移っている。いや、中国に飛んで習近平国家主席との会談が始まっているかもしれない。だから、予測などしても、まったく意味がなくなってしまう。
そこで、1日から始まった国会の問題点を記したい。
自民党が、衆院予算委員会などの国会質疑で、自民党の質問時間を増やす方針を打ち出した。
自民党の若手議員たちが「地元で有権者から、なぜ君らは国会で質問しないのか、と問われる。質問しないのは、サボっているのではないか、と非難されているようなので、もっと質問できるように時間を確保してほしい」と、強く求めているようだ。そこで、自民党の質問時間を増やす方針を打ち出したのである。


菅義偉官房長官は記者会見で「各会派の議席数に応じた質問時間の配分は、国民からすればもっともな意見だ」と語った。そして萩生田光一幹事長代行が、これまでの慣例を見直し、野党の質問時間を削減するという方針を確認した。従来は質問時間の8割が野党で、与党は2割だった。それを、各会派の議席数に応じた配分にすると、与党が7割で野党は3割になってしまう。
もちろん、野党各党はこの方針に強く反対している。だが、「安倍首相は謙虚な姿勢で臨むと言っていながら、最初から野党の質問時間を削るとは何事か。民主主義をはき違えている」などと、批判が抽象的だ。