ミッツ・マングローブ「ファンタジーに参加できない、でも孤独にもなれない上西議員」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「ファンタジーに参加できない、でも孤独にもなれない上西議員」

連載「アイドルを性せ!」

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『スポーツ観戦』というファンタジーに上西議員は参加できない?(※写真はイメージ)

『スポーツ観戦』というファンタジーに上西議員は参加できない?(※写真はイメージ)

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「上西議員」を取り上げる。

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 ファンタジー。空想や幻想という意味です。そしてそれは純粋な心と無垢な悦びの象徴であり、健全さの権化でもあります。そんな非日常的人生観がここ数年、日常に溢れ返っている。まさにファンタジー依存大国・日本。古くは桃太郎やかぐや姫などのお伽噺から、西洋のお城や王子様。童話における動物や植物の擬人化。そして天使とサンタクロースの過密状態。他にもディズニー、サンリオ、ジブリ、ハリポタ、セカオワ、羽生結弦など。時代屈指のファンタジー渋滞。そこに迷いや躊躇(ためら)いなく、無邪気に胸ときめかせられるかどうかが、現代社会における健やかさのバロメーターなのかもしれません。さらに昨今は「ならばいっそ、あなたもこちら側の住人に」的な気運が、ファンタジー界のネクストステージな様子。もはや『ファンタジーは幻想ではなく人生』とでも言わんばかりに、人間が立ち入れるシステムが次から次へと構築され、『精神的ハロウィン』の高まりは加速する一方です。このまま行くと40年後には、妖精目線でコミュニケーションを取る人たちばかりになり、女装したオカマなどお呼びでなくなっているかもしれません。

 信じ続けたい非日常から切り離され、現実を叩きつけられることは、人間にとって最大の恐怖のひとつです。それでも、いつしかサンタはいないと悟り、憧れのアイドルと結婚できないことにも気付き、皆オトナになっていきます。しかしながら「ずっと夢見ていたい」「妄想や空想に身を委ねていたい」という欲求は、以前に比べて「叶えられて当然」な価値観になり、もはや何ら恥ずべきものではなくなりました。


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