読売新聞は22日、前川氏が文科省時代に東京・歌舞伎町の「出会い系バー」に通っていたという“スキャンダル”を突如として報じた。少し前から文科省の内部文書のネタ元が前川氏ではないかといううわさが飛び交っていたため、政府筋による“意趣返し”のリークがあったのではないかという観測が広がった。

 この報道について前川氏は25日の会見で、店に行ったことは認めながらも、女性や子供の貧困について話を聞くのが目的だったと説明。「極めて個人的な行動をどうしてあの時点で報じたのか、私にはまったくわかりません」と語った。

 また、前川氏は昨年9月ごろ、杉田和博官房副長官から「こういうところに出入りしているそうじゃないか」と注意されたと明かした。杉田氏は警察庁出身で、危機管理のプロとして官邸の信頼が厚い人物。どういう手段で情報を得たのか、勤務時間外の官僚の行動まで把握していたことになる。前出の内閣府幹部が語る。
「怖いよね。変なところに飲みに行けない。杉田さんは最近は人事だけでなく、審議会の委員の人選にまで口を挟んでくる。菅官房長官の威光をカサに着てくるが、本当に菅さんの意向か、杉田さんの忖度か、こっちは確認しようもない」

 官邸にプライベートまで監視され、官僚たちは身動きを封じられているのだ。

 前川氏が「総理のご意向」などの内部文書を部下から示されたのは昨年9~10月ごろ。ちょうどこのころから獣医学部新設は実現へ急ピッチで進んでいく。

「それ以前は文科省や農林水産省、自民党獣医師問題議連会長の麻生太郎氏、前担当大臣の石破茂氏などの反対に遭い、難航していた。愛媛県と今治市は国家戦略特区で獣医学部の新設が認められる以前、小泉内閣時代に始まった構造改革特区に獣医学部新設を15回にわたって提案したが、全部、蹴られていました」(自民党中堅議員)(本誌・小泉耕平、村上新太郎、大塚淳史/今西憲之)

週刊朝日 2017年6月9日号