11月29日、やっと退陣表明した朴大統領 (c)朝日新聞社
11月29日、やっと退陣表明した朴大統領 (c)朝日新聞社

 来年上半期に韓国の新しい大統領が誕生する──。11月29日、朴槿恵大統領が「任期短縮を含めた進退を国会に委ねる」と宣言したことを受けて、与党・セヌリ党は12月1日、「4月末退陣、6月大統領選挙」を発表。次期大統領候補者に早くも注目が集まっている。

 12月1日の世論調査(世論調査会社リアルメーター)を見ると、大統領候補者の支持率でトップを走るのは最大野党・共に民主党の文在寅議員(63歳、20.7%)で、次点には有力候補者といわれ年末で任期が満了する潘基文国連事務総長(72歳、18.2%)、そして3位に文議員と同党の李在明・城南市長(51歳、15.1%)が躍り出た。

 9月初めには3.8%しかなかった李市長の支持率は崔順実ゲートが発覚してからみるみる急上昇。「前回の大統領選挙でシンドロームを巻き起こした野党・国民の党の安哲秀議員(54歳、10.5%)を抑えて3位まで浮上したことに正直、皆驚いている」(韓国紙記者)

 李市長は反日で有名な人物。進歩系で韓国のサンダースともいわれるが、その物言いはトランプ次期米大統領そっくりで、「歯に衣着せぬ言動で若者に絶大な人気を誇る」(同前)。

 10月末のテレビ番組では崔順実ゲートを「崔順実監督、朴大統領主演、助演は(与党)セヌリ党」と言い放ち、「朴大統領はもう大統領ではない。権威を喪失している」(JTBC)と痛烈にこき下ろした。また、先日、発効した日韓軍事情報包括保護協定にも強硬に反対しており、自身のツイッターに「韓民求(国防相)は朴槿恵を連れてあなた方の祖国日本へ帰れ」と書き込み物議を醸している。

 李市長は貧しい家庭で育ち、小学校を卒業後働いていた工場で左腕を負傷。20代半ばで人権弁護士となった苦労人だ。そんな人生ヒストリーと、実兄が朴大統領を支持する「パクサモ(朴槿恵を愛する会)」の支部長を務める兄弟間の葛藤も人々を引きつけているという。

次のページ