脂質異常症のQ&A!(※イメージ)
脂質異常症のQ&A!(※イメージ)

 ほとんど自覚症状がない脂質異常症。放っておくと動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞などを起こしやすくする。帝京大学病院内科(内分泌代謝・糖尿病内科)教授の木下誠医師と昭和大学病院東病院 糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の平野勉医師に、脂質異常症の疑問を聞いた。

Q:家族性高コレステロール血症(FH)の人は多いのですか?

A:「遺伝子の異常で高LDL‐C血症が起こるFHにはいろいろなタイプがありますが、頻度の高いものは大きく分けて2種類あります。肝臓にLDLコレステロール(LDL‐C)を取り込むLDL‐C受容体に異常があって取り込みがうまくいかないタイプと、LDL‐C受容体を壊してしまうたんぱく質が多いタイプです。この両方を合わせると、2014年の研究では200人に1人はFHの可能性があると報告されており、けっしてまれな病気ではありません。

 高コレステロール血症で治療中のケースでもFHと診断されずにいる人も多いのではないかと思います。治療法は一般の高コレステロール血症と同じですが、FHはLDL‐Cが200以上の高い値になりやすいので、きちんとした管理が必要です。治療の目標値も一般より低く設定されています。また、治療効果が出にくいケースも多く、中性脂肪値の管理や糖尿病、肥満の予防も重要になります。

 LDL‐C値の高い人、家族に心筋梗塞の経験者がいたら、FHの可能性も視野に入れて治療に臨んでください」(木下医師)

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