堀川未来夢(みくむ)選手が国内男子ツアー「ブリヂストンオープン」で2位に入り、来季シード権を獲得した。同じ日大出身でプロゴルファーの丸山茂樹氏は、躍進の理由をこう分析する。

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 いやあ、うれしいニュースが飛び込んできました。「第9回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」の高校生女子の部で優勝した臼井麗香さん(茨城・日本ウェルネス高2年)がやってくれました!

 日本女子ツアー第33戦「樋口久子Pontaレディス2015」(10月30日~11月1日、埼玉・武蔵丘GC)の主催者推薦選考会(マンデートーナメント)を突破し、本大会出場を果たしたんです。マルジュニア優勝の資格で出て、マンデートーナメントを突破したのは臼井さんが初めて。締め切りの関係で大会の結果はお伝えできませんけど、ほんとに素晴らしいことですよね。

 こうやって大会へ進んでくれると、推薦枠をいただいた恩返しになるし、マルジュニアの活性化にもつながっていきます。前から言ってますように、マルジュニアはステップアップの場でありたいんです。プロの試合へ出るチャンスを得て、そこでチャンスを生かしてくれれば。

 ジュニア育成の取り組みを続けてきて、何もビジョンが見えてこなけりゃさみしいばっかりですけど、こうやって明るい兆しが、あちらこちらでポツ、ポツと花咲く。種をまいてよかったなあと思いますよね。

「ああ、丸山のとこから出た選手が頑張ってるんだったら、応援しよう」となってくれるスポンサーさんが出てきてくれると、もっと大きなことができる。西川きよし師匠じゃないですけど、「小さなことからコツコツと」ですよね。

 さて先日は男子ツアー「ブリヂストンオープン」(10月22~25日、千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦)で、テレビ解説のお仕事をさせてもらいました。

 
 日大ゴルフ部の後輩たちが頑張ってましたねえ。片山晋呉(42)と堀川未来夢(22)が最終日最終組で回って、晋呉は14位と崩れちゃいましたけど、堀川は2位に入って、来季のシード権獲得へ大きく前進しました。

 優勝したのも日大OBの松村道央(32)。首位に4打差、最終組の2組前から猛チャージ。16番のチップインイーグルで単独首位に立ち、18番でダメ押しのバーディー。堂々たる「うっちゃり」を決めました。立派でした。

 プロ1年目の堀川は日大ゴルフ部のコーチとして静岡の寮に残って、学生たちと一緒にトレーニングしてます。だからゴルフ部の子たちがいっぱい、堀川の応援に来てましたよ。あの応援があって、大きく崩れることもなかったんじゃないかな。ゴルフ自体は雑なところもあるし、まだまだだと思いますよ。でも彼の発揮してる「人間力」は素晴らしい。

 晋呉の冠大会で活躍したのをきっかけに、20歳も年上の晋呉との距離を縮め、一緒に食事をしたり、練習ラウンドを回ったり。最近の若者にしては珍しいですよ。こうやって先輩と距離を置かずにふれあっていくというのは。こういう部分に、彼の伸びしろを感じるんです。

 プロゴルファー同士での「気づき」って、結構すごいんです。食事したときに相手の何げないひとことで開眼したり、一緒に練習ラウンドしたときに、調子いい人の様子からヒントをもらったり。そういうチャンスをつくっていく「人間力」も、若手の飛躍には欠かせないと思ってます。

週刊朝日  2015年11月13日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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