妖怪好き、刀女子は必見? 今の気分にぴったりの文楽とは (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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妖怪好き、刀女子は必見? 今の気分にぴったりの文楽とは

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国家転覆を企む世界最強の妖怪が登場する!(※イメージ)

国家転覆を企む世界最強の妖怪が登場する!(※イメージ)

 国家転覆を企む世界最強の妖怪が登場する「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」。次世代を担う文楽太夫の一人、豊竹咲甫大夫さんがその魅力を紹介する。

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 昨年あたりから、妖怪ウォッチの人気で子どものみならず大人にも妖怪ブームが広がっています。日本刀に萌える若い女性(通称・刀女子)も急増するなか、そんな今の気分にぴったりの人形浄瑠璃がこのたび大阪で上演されます。演目名は玉藻前曦袂といい、天竺[(てんじく)インド]、唐土[(もろこし]中国]、日本の三国にわたり、金毛九尾の妖狐が美女に化けて、国家転覆を目論むという壮大なスケールの物語です。

 今回上演するのは舞台を日本に移した三段目。つまり、世界最強の妖怪が日本に襲来する場面。物語は妖狐が姿を現す前のある悲劇から始まります。

 時は鳥羽天皇の時代。鳥羽天皇の兄である薄雲皇子(うすぐものおうじ)が帝位を奪おうと画策。諸国の武士を味方につけるために獅子王の剣(かつて天竺で妖狐を退けた剣)を右大臣・道春の屋敷から盗み出し、いよいよ大望成就目前までこぎつけていました。しかし、恋い慕う右大臣の娘・桂姫にだけは想いが届かず、皇子は家来に桂姫の首を討たせますが、その家来は桂姫の実の父でした。

 周囲が悲しみに暮れるなか、桂姫の妹である初花姫(はつはなひめ)の詠歌が叡慮にかない、初花姫は宮中に入内。そして名を玉藻前と改めますが、日本に渡ってきた金毛九尾の狐に食い殺されるのです。

 序盤は心濡れる人情劇ですが、妖狐が玉藻前を食い殺し、玉藻前の姿に化ける瞬間はおどろおどろしく、妖怪ファン垂涎の見どころ。そして、妖狐は「神道仏道破却して魔道を立て給はるべし」と薄雲皇子に自らの本性を語り、皇子と結託して日本を魔界にしようと陰謀を巡らせるのでした。

 悪と悪が手を組んだことで宮中は大荒れ。病気の帝に代わって政務を行う薄雲皇子は酒色にふけり、訴訟の裁きを馴染みの傾城に任せるなど、国家転覆が現実味を帯びてきます。その後の結末は……劇場でご覧いただきたいところ。ただし、刀女子が萌えるほど、名刀が大きな役割を果たします。


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