チップ化した間伐材を燃やすなどして発電する木質バイオマス発電が日本ではここ数年増えた(※イメージ)
チップ化した間伐材を燃やすなどして発電する木質バイオマス発電が日本ではここ数年増えた(※イメージ)

 チップ化した間伐材を燃やすなどして発電する木質バイオマス発電が日本ではここ数年増えた。固定価格買い取り制度(FIT)で1キロワット時当たり最高40円の高値が付いているためだ。しかし現状では問題があり、自然エネルギーの本来の特徴である「地産地消」のコンセプトが崩壊しかねないのだ。ジャーナリストの桐島瞬氏がその解決策を探る。

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「日本ではバイオマス発電所に関するFITの議論をする際、5千キロワットクラスの規模の大きな発電所をモデルにしてしまった。そのため、この大きさを基準にバイオマス発電の市場ができてしまい、木材の供給不足が起きる原因が生じたのです。もっと小型化し、さらにボイラーでできた熱を活用し、エネルギー効率を高める必要があります」(シンクタンク研究員)

 解決策のお手本はドイツにある。ドイツでは原発2基分の電気をバイオマス発電から生み出しているが、初期のころはやはり大規模発電が優遇され、木材が供給不足に陥った。

 その後、小型化、熱利用に取り組む事業者に手厚い制度へ変更し、いまでは9割以上が500キロワット以下ともいわれる。

 一方、日本は小型設備がほとんどない上、ボイラーで大量のお湯を沸かした熱も捨てている。

 バイオマスコンサルタントのティーロ・シュミットセール氏が説明する。

「ドイツでは100~250キロワットクラスのコージェネレーション(熱電併給)発電機が数多く普及し、電気は売電、熱は家庭用暖房や農業用などのエネルギー源として地域に還元されます。大規模なバイオマス発電システムを導入しても地域貢献にはならず、なにより発電のために木材を輸入するなんて馬鹿げているとドイツ人は学んだのです」

 伐採や搬出に関しても仕組みができていると話すのは、バイオマス発電を積極的に導入する独ザンクト・ペーター村のルドルフ・シューラ村長だ。

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