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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「暴れん坊将軍」(テレビ朝日 月~金曜4:00~)の“伝説の回”について、その感動を伝える。

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 関東地方の朝っぱら4時、テレビ朝日で時代劇の再放送枠「おはよう!時代劇」がある。早起きのお年寄りを狙いすましたような、この編成。

 今回その枠で放送されたのが、「暴れん坊将軍」第9シリーズ。伝説の回とウワサの19話「江戸壊滅の危機! すい星激突の恐怖」だ。

 何が伝説かっていうと、しょっぱなから上様(松平健)が、天守閣で望遠鏡をのぞき、不吉に輝く彗星(すいせい)を発見。やばいよ、この彗星。大気圏突入前から燃えまくり。布のボールをまるめて油にひたして火をつけてみました的な火の玉だけど、まさに地球滅亡レベル!?

「豆つぶのような星でも、ぶつかれば相当な被害が出る!」と、NASAも真っ青な分析力で、江戸に彗星が激突することを予知する上様。すぐさま実在の天文学者・西川如見(笹野高史)を呼び寄せる。

 これまた如見先生が、正確な天体図を手に、スーパーコンピューターばりの計算力を発揮する。

「よ~しわかったぞ、大和田村! 被害は二里四方、本日丑の刻!」

 ピンポイントすぎる上に、被害範囲せまっ!

 さらに混乱に乗じて「ロウソクに火を灯して、祈れば助かる」という怪しげな商売をする悪党一味登場。実はこれ、ダイナマイト入りのロウソクで、火をつければドカーン→火事騒ぎのすきに盗み→上は火の玉、下は火の海→江戸パニックの勢いにのって倒幕!……という豪快すぎる計画。

 でも、どこか可愛げのある痛快娯楽時代劇の悪党一味。上様が「余の顔を見忘れたか?」って言うと、ちゃんと「ははぁッ」て一旦土下座してから、「どうせ上様には死んで頂くつもりでした!」って開き直るもの。上様が「やむをえん……!」と、成敗するきっかけ作りにも尽力してるよね。

 剣劇シーンをたっぷりと見届けた後、山の向こうの大和田村(一同避難済み)に華々しく激突する彗星。山ふたつくらい吹っ飛んで、これほんとに二里四方?て、気もするけど。

 爆発をしみじみ眺める「め組の頭」が、後に「俺は宇宙人と会ったよ、まじで」って言ってるUFOマニアの山本譲二だというのも、味わい深い。本放送は99年。「恐怖の大王が空から降ってくる」と、ノストラダムスが予言した世紀末の年に、なんともふさわしい伝説の一編である。

週刊朝日  2015年10月2日号