飯島勲いいじま・いさお 1972年、小泉純一郎元首相の衆議院初当選とともに秘書になり、首相秘書官として小泉内閣を支える。現在、内閣参与(特命担当)、松本歯科大学特命教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事を務める。初の教養本である『ひみつの教養』(プレジデント社)を出版 (c)朝日新聞社 @@写禁
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飯島勲
いいじま・いさお 1972年、小泉純一郎元首相の衆議院初当選とともに秘書になり、首相秘書官として小泉内閣を支える。現在、内閣参与(特命担当)、松本歯科大学特命教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事を務める。初の教養本である『ひみつの教養』(プレジデント社)を出版 (c)朝日新聞社 @@写禁

 5年5カ月という長期政権となった小泉純一郎元首相の首相秘書官を務め、現在も安倍政権を内閣参与(特命担当)として支える飯島勲氏(69)。永田町歴44年、酸いも甘いもかみわけてきた飯島氏が、スキャンダルに揺れる安倍政権の危機管理をぶった切った。

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▼「政治とカネ」の問題で西川公也前農水相が辞任した2月23日に、故中川昭一元財務相の妻で農水大臣政務官の中川郁子氏と、既婚者の門博文議員が、熱烈な路上キスをする様子が報じられた。辞任は免れたものの、後援会などからは非難の声が相次いでいる。

飯島:中川昭一先生も知っている縁もあって、郁子議員の選挙アドバイスをしたこともあったから、ちょっとつらい話なんですよ。今回は不倫になるけど、男と女の愛は2人とも同じレベルの愛だったらうまくいく。“白亜の恋”と呼ばれた園田直元外相と天光光氏や、“政界失楽園”と言われた船田元・衆院議員も、本当に好きな人を略奪した末に結ばれた。後援会や周囲に後ろ指さされようと、本当に好きだったら仕方ないんです。だから復帰後に「酔った勢い」と謝罪したのが、残念だったね。「騒がせて申し訳ない。だけど、独身の私は(門議員を)本当に愛していて、今も好きで耐えられない」くらい言ってほしかったと思っていますよ(笑)。

▼昨年10月、小渕優子前経産相が政治資金問題で、松島みどり前法相が「うちわ問題」でダブル辞任した。

飯島:小渕前経産相の政治資金問題は、「週刊新潮」で昨年10月16日に報じられたことで注目されたが、実は約1カ月前の「しんぶん赤旗」(9月18日付)で、報告書に問題があることが指摘されていた。この1カ月間に辞任を防ぐ手立てがあっただけに残念です。

 実は、政治資金収支報告書を受理する総務省や選挙管理委員会に、報告書を調査したり、善悪、適法、違法を判断したりする権限がない。つまり、仮に間違いが見つかっても、政治家側が自発的に修正を加えるシステムになっているんです。だから第一報の時点で、小渕前経産相や安倍首相の取り巻きが、なぜ指摘しなかったのか。速やかに全部チェックして修正していれば、それで済む話だったんです。

▼小泉政権時代の5年5カ月は、政治とカネをめぐる問題はあまり話題にならなかったが、どのような対応をしていたのか?

飯島:なぜなら、私が「身体検査」として、閣僚候補の政治資金収支報告書を徹底的に調べて、直ちに修正させていたからなんです。

「政治とカネ」の問題が出たら、わが身だと思い、大臣や副大臣や政務官は徹底的に点検すべき。脇の甘さをきちんと認識すべきですね。

▼「イスラム国」による日本人人質事件後、政府の対応について批判的な声もあったが、支持率の大きな下落は見られなかった。なぜなのか。

飯島:私が永田町にいる44年で、今のように総理大臣と官房長官よりも、閣僚から突出した発言が出てこないことは、すごいことなんです。民主党政権時代は、閣僚のスタンドプレーや内閣不一致で政策が頓挫することがあったけど、今は全く起きていない。そこが安倍政権の強み。長期安定政権が続くと見ています。

▼弱点はないですか?

飯島:気になるのは、安倍首相が「拉致問題をこの政権で解決する」と言い切ってしまったこと。これは大変大きなリスクを背負った約束事で、まだ先が見えてこない。私は担当外なんですけど………。担当者を含めて、これから水面下の作業を相当やっていかないとならない問題です。

(構成 本誌・牧野めぐみ)

週刊朝日  2015年4月10日号より抜粋