俳優・永瀬正敏 甲子園映画で中年体形に 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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俳優・永瀬正敏 甲子園映画で中年体形に

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※イメージ写真

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 全国高等学校野球選手権大会、通称“甲子園”は、今年100周年を迎える。その長い歴史の中、台湾が日本の統治下であった時代に、台湾代表チームが出場したことがあった。映画「KANO─~1931海の向こうの甲子園~」は、そんな実話をもとに制作され、昨年、台湾で大ヒットを記録した。永瀬正敏さんはこの映画で、台湾チームの監督を務めた日本人・近藤兵太郎を演じている。

「僕が子供の頃、地元である宮崎の都城高校は、甲子園の常連で、甲子園の時期になると、家族で夢中になってテレビを観ていました。でも、このお話をいただくまで、台湾代表が甲子園に出ていたなんて、まったく知らなかったんです」

 最初の衣装合わせで、自分の体形に監督としての説得力がないと感じた。そこから、あえて体重を増やし、中年っぽい体形を作っていった。

「ベンチに座っているだけで威厳が出るようにしたかったんです。映画ってドキュメンタリー作品以外はフィクションじゃないですか。言ってしまえば嘘なんだけれど、だからこそ本気で取り組まないと、リアリティーは感じてもらえない。嘘の上に嘘を重ねないように、できることは精いっぱいやるよう心がけています。“永瀬が演じている”と思われるより、極端なことを言えば、“最後まで永瀬だと気づかなかった”と思われるほうが嬉しいですから(笑)」

「KANO~」の映像もまた、驚くほど“嘘”が排除されている。空き地には1931年当時の町並みを再現し、高雄には甲子園のオープンセットまでつくった。観客役のエキストラも女性は日本髪を結い、日本語を勉強してから撮影に挑んだという。

「人種や民族の壁を超えて、一つの夢に向かって突き進んだという事実。それが台湾の歴史の一ページにあると提示しているのが、意味のあることだと感じました。『KANO~』の撮影期間中に僕自身も俳優生活30周年を迎えて、オーディションで選ばれた生徒たちの芝居に触れながら、30年前の自分を見ているような錯覚に陥ったことも何度かあります」

 また、撮影中の2013年は、永瀬さんのデビュー作を撮影した相米慎二監督の十三回忌でもあった。

「相米さんは、僕にとって映画の先生ですが、デビュー作の『ションベン・ライダー』の撮影時は、一回も、『OK』と言ってもらえなかった。オヤジ(相米監督)は、『お前が役を生きているんだから、一番役に詳しいはずだ』という考え方でした。確かに、言われたことをやるだけでは、小手先の芝居になってしまう。リハーサルを重ねるうち、余計なものが削ぎ落とされ、そこに生きられるようになる。それまで待ってくれていたんでしょうね。オヤジに『OK』と言ってもらえる役者になりたくてずっとやってきたけれど、亡くなってしまって永遠に『OK』はもらえない。それがとても悔しいです」

週刊朝日  2015年1月30日号より抜粋


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