男女の教育に差をつけないという時代の流れや、少子化による生徒数減少対策といった理由で、共学化の動きは全国に広がっている。

 文部科学省の学校基本調査によると、1993年には全国の国公私立高校計5501校のうち、男子のみの学校は306校、女子のみは655校。別学は計961校で全体の17.5%を占めた。それが20年後の2013年には、全国の計4981校のうち、男子のみは125校、女子のみは324校で計449校と半減。全体の校数も減っているが、別学は全体の9%と激減した。

 共学化がより顕著なのは西日本、特に関西圏だ。公立高校はほぼ全て共学。私立でも名門と呼ばれる進学校の共学化が相次ぐ。

 そのうちのひとつ、洛南(京都)は、06年に中高同時に男子校から共学になった。もともと進学校だったが、今年の京大の合格者は全国最多の79(うち女子12)人。東大にも24(同8)人が合格するという、高い実績をあげている。

 特に女子生徒は、高校で全員が難関国公立大学を目指すコースに入ることになっており、今では関西圏の中学入試において女子の最難関校という地位を不動のものにして、「女子の灘」と呼ばれるほどだ。

 同校OBで渉外部長の余根田聡教諭は、共学化に踏み切った理由を、

「女性が自立することが当たり前の時代になった。社会で活躍できる女性を育て、さらに性差を超えて共生する若者を育てる場となることが、社会的要請であり、本校として進むべき道であると判断した」

 と話す。共学化したところ、教諭に気軽に質問をする女子生徒に影響されるように、男子生徒も学校での勉強により積極的な姿勢を見せるようになったという。

 当初は、「男子を厳しくしつけるように女子生徒に接してもうまくいかないだろう」(余根田教諭)と、教諭陣も戸惑いがあったという。それが軌道に乗った背景には、勉強以外の課外活動などでも活躍する人材を育てようという校風が大きかった。昨年、陸上男子100メートルで高校生ながら日本歴代2位の10秒01を記録した桐生祥秀(よしひで)選手(現・東洋大)も同校の卒業生。多様な才能を認める学校全体の雰囲気が、女子生徒の個性をスムーズに受け入れることにつながったという。

週刊朝日  2014年6月6日号より抜粋