春を迎え、一人暮らしを始める人も多いのではないだろうか。初めての一人暮らしで気を付けたいのが防犯。女性の場合は特に注意が必要だ。なかでも強姦被害の現状をみると、家での対策の重要性が分かってくる。

 強姦約200件、強制わいせつ約900件、痴漢(迷惑防止条例違反)約2千件。これは2013年に東京都内で発生した性犯罪の件数だ。警視庁によると、被害者の女性は、いずれの犯罪も10~20代が約80%を占めている。そして発生場所は強姦の約57%、強制わいせつの約32%が住宅だ。

 一人暮らしの若い女性がこうした性犯罪から身を守る方法として、警視庁生活安全部生活安全総務課も、まずは鍵かけの徹底を呼びかける。

「地方から出てきて間もない人は2階以上だとベランダの窓に鍵をかけない傾向がありますが、2・3階はそばに電柱やブロック塀、排水管などの足場があれば簡単に登ってくるし、最上階でも屋上から下りてきます。何階であっても鍵をかけずに寝たり外出したりするのは極めて危険です」

 安全生活アドバイザーの佐伯幸子氏は、オートロックのマンションでも油断は禁物、と警鐘を鳴らす。

「オートロックだからと安心し、郵便物を取りに行くときやゴミ出しのときなどに鍵をかけない人がけっこういますが、オートロックでも誰かの後ろについて“共連れ”で入れます。ましてやオートロックがない物件の場合は、自室のドアの向こうは路上と同じです。オートロックやエレベーターの前で男性と一緒になったら“お先にどうぞ”と言いましょう。そうやって、ひと手間かけるだけで安全レベルを上げることができるのです。窓には補助錠やアラーム、ベランダにはセンサーライトなどの防犯グッズを取り付けてセキュリティーを高めることをお勧めします」

 覚えのない訪問者にはドアを開けることはもちろん、インターホン越しでも応答してはいけない。宅配便の受け取りもドアチェーンをかけたままで行うのが鉄則だ。大きい荷物は玄関先に置いていってもらえばよい。

週刊朝日  2014年5月2日号より抜粋