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24時間津波の音 それでも立ち上がる被災ホテル社長

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陸中海岸グランドホテル住所:岩手県釜石市港町1-2-3電話:0193-22-1211(撮影/写真部・松永卓也)

陸中海岸グランドホテル
住所:岩手県釜石市港町1-2-3
電話:0193-22-1211
(撮影/写真部・松永卓也)

 東日本大震災からもうすぐ2年。町の再建がなかなか進まない三陸海岸に、再開したホテルの灯がともり始めている。

【週刊朝日に掲載された写真はこちら】

 陸中海岸グランドホテルの野村亨平(きょうへい)社長は、津波で妻と両親、そして自宅を失った。

 2日後に、ようやく釜石湾の目の前に立つ自分のホテルに行くと、1階と2階は柱だけになり、3階以上は避難所になっていた。再開する気も起こらず、廃業しようと思った。

「家族もなくしましたし、首をつろうと思ったこともあります。1カ月くらいゴーッという津波のような音が頭の中で24時間鳴りっぱなしで。体調も変になって、便秘かと思ったら直腸がんでした……。胆石もスプーンで3杯分とれまして。手術でおなかに6カ所も穴を開けましたよ」

 それでも立ち上がって、昨年11月に再開できたのは、3人の子どもがいたから。柔道をしている末娘は、高校生になった。ときに新聞で取り上げられるほど活躍している。

「娘が大学を卒業するまでは、何とかしなきゃいけない、と思いまして」

 娘の話になると、いかつい顔がふとゆるんだ。

週刊朝日 2013年3月8日号


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