ドライマウス研究会の調べによると、日本のドライマウス患者数は800万人、予備群は約30万人と推定されている。「たかが口の渇き」と軽視されがちだが、消化器の一部であり、感覚器でもある口は、非常に重要な器官だ。唾液量の低下で「食べにくさ」「話しにくさ」なども現れ、精神的な苦痛も小さくない。

 ドライマウスの原因はストレス、更年期障害、薬の副作用、筋力低下などだが、実際はこれらのいくつかが複合しているケースが多い。

「ストレスが原因でドライマウスを招いている場合は、患者さんの話をじっくり聞き、軽減することで、症状がよくなることもあります。また、部屋を乾燥させない、こまめに水分をとって口の中をうるおす、お酒をほどほどにするなども、ドライマウスの予防や対策にはいいでしょう。喫煙本数が多いと唾液分泌が抑制される可能性があります。喫煙者は習慣を見直したほうがいいと思います」(鶴見大学歯学部病院 病理学講座教授・斎藤一郎歯科医師)

週刊朝日 2012年11月30日号