ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授(50)。研究に必要な〈集中力〉は小学校のころから存分に発揮されていたそうだ。少年時代の集中力にまつわる、象徴的なエピソードを母、美奈子さんが明かした。

「親戚が集まると、子どもはみんなマンガ本を広げる。けど息子は一人だけ辞書を読んでましてん。『しんちゃんだけは辞書見てた』と今でも親戚の間では語り草。熱中し始めたら、止まらなくなる感じはありましたね。iPS細胞の研究もそれがよかったのかな。はっはっはぁ」

 美奈子さんは、そう言ってガハハと笑う。

 山中教授は、大阪教育大付属天王寺中学・高校では柔道部に所属しながら、限られた時間をうまく使って「文武両道」の生活を送った。美奈子さんが言う。

「部活が終わって夜遅くに家に帰ってくる。そして、今度は勉強。私の口癖は『はよう、寝え~』でしたわ。それでも、電気つけたまま夜食も食べずに、よう勉強してましたよ」

週刊朝日 2012年10月26日号