野田政権が原発再稼働に動いている。いったいどういうことなのか。原発事故はいまだ収束せず、検証も対策も中途半端。原子カムラは温存されたまま、国会事故調査委員会の追及に当時の責任者たちは自己弁解を並べる。その間に、東京電力は「値上げ」を画策する――この「国家の迷走」について、福島第一原発(フクイチ)最高幹部は、憮然として次のように語る。

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 まだフクイチの事故が収束していないというのに、よく政府は「再稼働」などと口にできますね。

 政府は、現地に経済産業省の副大臣か政務官を常駐させるとしていますが、副大臣なんて何もできません。

 副大臣がいれば事故が起きないというのであれば、全国の原発に副大臣を駐在させればいい。この話はむしろ、副大臣のおもりをするために役人や、電力会社から人を出さなければいけないことになる。バカじゃないかと思います。

 野田(佳彦)総理は、

「最終的には総理大臣である私の責任で判断する」

 と言っています。どう責任を取るのでしょうか。野田総理が神様のごとく原発事故を防げる、抑えられるなら、誰も苦労はしません。

 事故発生当時のトップだった菅(直人前首相)さんは、何の責任も取っていないじゃないですか。官房長官だった枝野(幸男)さんも同様です。先日あった国会事故調査委員会(国会事故調)の事情聴取の様子からも、この"無責任体質"がよくわかります。

※週刊朝日 2012年6月15日号

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