ジャーナリストの田原総一朗氏は、「率直に言って、少なからぬ国民が『政党政治』にうんざりしているのではないか」と語る。田原氏自身も国会の審議を聞き、憤懣やるかたなく思うという。

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 国会の審議を聞いていると、私も本当にイヤになる。自民党は民主党の揚げ足取りに終始しているし、民主党は政権党の体をなしていない。

 野田佳彦首相も、谷垣禎一自民党総裁も、自分の党を仕切る力がないのだ。

 そんな中で、じわじわと存在感を示し始めた人物がいる。民主党の輿石東幹事長である。

 輿石幹事長には、小沢氏が不利になるような状況はつくらないという強い意志がある。小沢氏は消費税増税に断固反対しており、だから輿石幹事長も消費税増税法案を成立させるつもりはない。

 それに、いま総選挙となれば、小沢グループの少なからぬ議員が落選し、小沢グループの勢力は大きくそがれることになる。そんな事態はなんとしても避けなければならない。

「輿石戦略」通りに進めば、おそらく消費税増税法案の成立も総選挙もなく、9月に民主党の代表選、自民党の総裁選が行われることになるのではないか。

※週刊朝日 2012年4月6日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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