コイヌ、コグマ、ヤギ、バービーって何の名前?実は猛威をふるうあの名前 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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コイヌ、コグマ、ヤギ、バービーって何の名前?実は猛威をふるうあの名前

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何の名前かな?

何の名前かな?

「コイヌ」「コグマ」「ヤギ」「ウサギ」「バービー」・・・。これらの名前を聞いて何を思い浮かべますか?ぬいぐるみや人形のようなかわいらしいものを想像してしまいますが、実は、これらは時には日本へ猛威をふるう「台風」が発生したときにつけられる名前の一種です。今回は台風の名前の謎に迫ります。


台風には名前がつけられる!

台風はその年に発生した順番に1号、2号・・と台風番号がつけられますが、それ以外に名前がつけられます。もともと台風には米国が英語名(人名)をつけていましたが、2000年から北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風にはアジア名が付けられることになりました。例えば、2020年台風10号は「ハイシェン」、台風11号は「ノウル」、12号は「ドルフィン」、そして13号は「クジラ」というインパクトの強い名前です。台風委員会に加盟する14の国と地域がそれぞれ10個ずつ提案した名前が全部で140個あり、1番から140番までのリストにし、発生した順番につけられていきます。初めて名称がつけられた2000年の台風1号には「ダムレイ」というカンボジアで「象」を意味する名前が付けられました。台風に名前をつける目的とは、「国際社会への情報に台風委員会が決めた名前をつけて、それを利用してもらうことによって、アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進すること」「アジアの人々になじみのある呼び名をつけることによって人々の防災意識を高めること」(気象庁ホームページより)とされています。


日本が提案したのは星座の名前

日本名は「コイヌ」「ヤギ」「ウサギ」「カジキ」「カンムリ」「クジラ」「コグマ」「コンパス」「トカゲ」「ヤマネコ」の全10個が提案されています。(2020年10月現在)かわいらしい名前からは台風と結びつかないものもあり、なぜこの名前を選んだの?と思ってしまいますが、これらは全て星座の名前。星座に詳しい方ならピンとくるかもしれませんね。なぜ星座の名前にしたかというと、特定の個人や法人、地名ではないことで利害関係が生じにくく、台風とイメージ上の関連がある「天空」にあり、人々に親しまれていることからこれらの名前が選ばれました。

タイトルにも出てきた「バービー」は実は人形の名前ではなく、ベトナム北部の山の名前です。その他、「マリア」は米国の女性の名前)「サンサン」は香港の少女の名前)、「チャーミー」はベトナムの花の名前など、かわいらしいものもありますが、中には米国で「大雨」を意味する「ハギビス」、嵐を意味する「ラン」という、いかにも台風らしい名前もあります。


顕著な台風は特別な名称を定めます

これらの名前は、被害の大きさにかかわらず、台風が発生するたび毎回付けられるものですが、特に顕著な災害を起こした台風については後日、特別な名称を定めることがあります。これまでの例では、洞爺丸台風や狩野川台風、伊勢湾台風などがありますが、2019年9月に千葉県に甚大な被害を出した台風第15号(ファクサイ)は、「令和元年房総半島台風」、そして翌月10月の台風第19号(ハギビス)は「令和元年東日本台風」と定められました。台風に名称が定められたのは実に42年ぶりのことです。ちなみに1991年の台風19号は収穫前のリンゴが大量に落下してしまうという甚大な被害を受けたため、通称「リンゴ台風」と呼ばれていますが、これは気象庁が定めた正式なものではありません。ただ、「リンゴ台風」というと、イメージしやすいかもしれませんね。


ハリケーンが越境して台風になったら名前はどうなる?

アメリカでは大西洋、太平洋北東部・北中部で発生したものをハリケーンと言いますが、2005年に発生した「カトリーナ」、2020年には「ローラ」がなどが有名で、名前で呼ばれることが多いようです。

日本では台風が発生すると、発生当初は個性的な名前がSNSなどで話題になることがありますが、日本においてニュースなどで台風を取り上げる際には、名前で呼ばれるよりも「台風〇号」と、台風番号で呼ばれることのほうが多いように思います。

では「ハリケーン」が越境して「台風」になったら、名前はどうなるのでしょうか。2018年の8月には「ハリケーン」(ヘクター)が180度経線を超えて東経域に入り「台風」となりました。この場合、台風番号は新たにつけられ台風17号となったものの、台風の名前はリストの順番通りではなく、ハリケーンの名前をそのまま使用し、「ヘクター」となりました。


台風の名前は”引退”することも。

各国から提案された名前は原則として順番に繰り返し使用されますが、大きな災害をもたらした台風の名前は変更されて、それ以降は使われなくなる、つまり”引退”した名前もあります。かつて日本が提案した星座の名前で「コップ」がありましたが、2003年、2009年、2015年に使用されたものの、2015年にはフィリピンに上陸し、大きな被害をもたらしたため、”引退”しました。その後、新たに「コグマ」に。「ワシ」もフィリピンに大きな被害をもたらしたため引退して「ハト」になりました。しかしその後「ハト」も”引退”が決まり、「ヤマネコ」に変更になっています。ただ、「コグマ」や「ヤマネコ」はまだ命名されたことがなく、”順番待ち”となっています。

2020年10月16日現在、台風16号まで発生しており、78番目の「ナンカー」(マレーシア・果物の名前の意味)まで命名されています。台風の年間の平均発生数は25.6個ですが、それ以上に発生すれば、2020年中に89番目の「コグマ」が命名される可能性もありますが、131番目に待機している「ヤマネコ」の発生はまだ数年先になりそうです。

台風の名前が誕生して20年。日本でも台風の名前が浸透することで台風への関心が高まり、結果として防災意識を高めていくことができればと思います。10月後半も、2019年の「令和元年東日本台風」のように甚大な被害をもたらす台風の発生には油断ができません。台風が発生したら、名前の由来にも注目しつつ、台風への今後の進路をこまめにチェックし、大雨や暴風への備えも万全にしておくようにしてください。


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