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錦糸町の住宅地で納豆をつくっている太平納豆の皆さん。工場は東京スカイツリーのすぐ近く
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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納豆
戦前に深川で創業
太平納豆(墨田区)
蒸しあがった大豆にジョウロで納豆菌をかける。ジョウロは洗いやすく、扱いやすくて良いという
戦後の食糧難の頃、つくれば飛ぶように売れた納豆。全盛期、東京には100軒もの工場があったが、今は数軒を数えるのみだ。納豆は、大豆を蒸して納豆菌を加えて室(むろ)で発酵させ、少し寝かせて出荷する。人気の「東京納豆」に使う大豆は、窪んだ部分が黒い「黒目大豆」。大粒でしっかりした味と歯ごたえがいい。この商品は2010年に新宿の「高橋商店」が廃業した際、なくすのは惜しいと引き継いだ。「大豆もお米と同じで新豆がいい。新年を過ぎた頃が納豆の一番おいしい時期です」と代表の岡崎誠一さんは目を細める。店頭販売のほか、近所のスーパーなどに卸している
東京都墨田区太平2―16―5
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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商品によっては手作業で納豆を詰める。「機械詰めよりおいしい」とお客さんからも好評だ
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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煮豆の香ばしい匂いがする工場での梱包作業
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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欧米への輸出は順調に増えている
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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製品の種類は常時10種類以上。近年は国産大豆を使ったものが人気だ。「下町の納豆屋さん」(100円)、「東京納豆」(150円)、「手造り納豆」(120円)
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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錦糸町駅から徒歩10分ほど
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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製麺
昭和10年創業
江戸玉川屋(北区)
麺は熟成室で24時間ほどかけて乾燥
「創業時はお客さんが持ってきた粉で乾麺をつくり、手間賃をもらう商売だったそうです」と専務取締役の関根康弘さん。ゆで麺が主流になる高度成長期まで需要のあった乾麺工場も、今や23区でここ一軒だけだ。「満さくうどん」は、小麦粉を92度の熱湯でこねる。機械に生地がつきやすく、普通はやりたがらない手法だが、もちもちした食感が出る。麺はゆっくり乾かすと熟成され、味がよくなる。乾燥具合をみるのは人の手。1日15回前後も温度と湿度を確認し、麺を触って調整する。それがなめらかでこしのある麺をつくる秘訣だ。自社オンラインショップ、エキュート赤羽の「グリーンデリ」でも販売している
東京都北区豊島7―5―12
http://www.edo-tamagawaya.jp/
(撮影/写真部・植田真紗美)
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左から関根康弘さん、長年の経験で乾麺の調整をしている、父の詔さん、康弘さんの弟で工場担当の清元さん
(撮影/写真部・植田真紗美)
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機械につける麺の名札。学校給食のゆで麺や宮内庁へも麺を卸しており、アレルギー対策のため商品管理には気を配る
(撮影/写真部・植田真紗美)
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機械で縮れをつける中華麺
(撮影/写真部・植田真紗美)
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1階は販売店舗
(撮影/写真部・植田真紗美)
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「満さくうどん」(378円)=左。右は練馬区の農家・ファーム渡戸の小麦粉と、北区・小山酒造の地下水を使った「東京産のおうどん」(非売品)
(撮影/写真部・植田真紗美)
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酢
昭和12年創業
横井醸造(江東区)
まずは工場で日本酒をつくり、酢酸発酵させて酢をつくる。表面に浮かぶ酢酸菌の菌膜の不思議な模様は、木蓋の縁から落ちる雫の跡だ
「深川木場の材木業だった初代が、寿司屋に卸す酢をつくろうと考えたのが転業のきっかけと聞いています」と4代目の横井太郎さん。最初は「こんな味じゃ使えない」と何度も突き返されたというが、今は三つ星の名店にも卸す。
かつて寿司飯によく使われた「赤酢」は、何年も寝かせて紹興酒のように濃厚な香りがする酒粕からつくる。「地価の高い東京で材料を何年も寝かせて酢をつくるのはもったいないことかもしれない。けれど直接、商品を届け、使う人の声を聞きながらつくるのがうちのよさ。移転するつもりはないです」と横井さんは笑う。自社オンラインショップ、新宿タカシマヤの紀ノ国屋など、一部デパートでも販売している
東京都江東区新木場4―2―17
http://www.yokoi-vinegar.co.jp/
(撮影/写真部・植田真紗美)
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静かな発酵室。静置発酵法で時間をかけ、ゆっくり酢を発酵させる。煙突で温度を調整
(撮影/写真部・植田真紗美)
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「真黒酢」(1728円)、「赤酢」(324円)、「米の酢きんしょう」(324円)
(撮影/写真部・植田真紗美)
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うまみの強い赤酢の原料は酒粕。乳白色の酒粕も10年前後寝かせると真っ黒になる
(撮影/写真部・植田真紗美)
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工場の皆さん
(撮影/写真部・植田真紗美)
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かつて使われていた木樽が入り口に
(撮影/写真部・植田真紗美)
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再開発のため工場は1988年に木場から新木場に移転
(撮影/写真部・植田真紗美)
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味噌
大正12年創業
糀屋三郎右衛門(練馬区)
70~80年ものという木桶に味噌を仕込む。プラスチックの桶よりも濃い色に仕上がるため、色の薄い味噌が好まれる昨今は、木桶の出番が減った
平屋の木造家屋を入ると、プラスチック製の桶に交じり、大きな木桶があちこちに鎮座する。大豆を蒸して潰し、麹と塩、種味噌という熟成味噌を混ぜて1年前後。ゆっくり流れる時間がうまみたっぷりの味噌をつくる。
「味噌は生き物。いつも同じということはありえない。環境が昔とは違うので味噌づくりも多少変わってきました」と主人の辻田雅寛さん。近年は気温の上昇により、以前よりも早く熟成してしまうので、常に調整が必要だという。店頭ほか、東武池袋店、都内の地産マルシェなどで販売している
東京都練馬区中村2―29―8
http://www.kouji-ya.com/
(撮影/写真部・加藤夏子)
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蒸した大豆を扇風機に当て、素早く冷ます
(撮影/写真部・加藤夏子)
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味噌をつくるのは辻田さんと妻・美幸さん、辻田さんの義兄・渡辺寛さんと義妹の和美さんの4人
(撮影/写真部・加藤夏子)
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「有機京の里つぶ850g」(1726円)、「すずしろの里つぶ850g」(1157円)、「おふくろ自慢甘口つぶ425g」(497円、工場での販売なし)
(撮影/写真部・加藤夏子)
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味噌のための麹をつくる大谷石製の室。麹や甘酒も販売
(撮影/写真部・加藤夏子)
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日本酒
明治11年創業
小山酒造(北区)
酒米を蒸して始まる酒づくり
埼玉の造り酒屋の3代目の次男だった初代が「この場所の井戸水が日本酒に合う」と蔵を開いた。以後、関東大震災でも太平洋戦争の空襲でも被害を受けず、日本酒をつくり続けてきた。今も地下水をくみ上げて仕込む。
「うちは生産量が少なく、ほとんど地元で消費されているので飲んでくださる人の顔が見える」と常務取締役の小山久理さん。今は冬だけ泊まり込む杜氏や職人に代わり、醸造学を学んだ社員が酒づくりに取り組む。近所のおでん屋や居酒屋には、小山酒造の「丸眞正宗」の文字。愛される地域の地酒だ。自社オンラインショップで購入可
東京都北区岩淵町26―10
http://www.koyamashuzo.co.jp/company.php
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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吐息でも菌が飛んでしまうため、無言で麹をふっていく
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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前掛けにある戦前の人気銘柄「東京盛」は今後、復活予定
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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麹菌をつける時に使うワンカップの瓶
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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かつて酒蔵の代表は名前を継いだ。今も門には初代「小山新七」の名
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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「丸眞正宗純米吟醸」(1800ml・2674円)、「丸眞正宗本格辛口」(1800ml・1728円)
(撮影/写真部・大嶋千尋)
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