翌13日夜には沖縄県民が恐れていた事態が勃発した。安全性に疑問のあるオスプレイが、名護市沖合に着水して大破。国内で初めての重大事故を引き起こした。米軍と国は「不時着」としたが、翁長雄志知事は「墜落」と表現し、沖縄の不安は高まった。だが沖縄米軍のトップ、ニコルソン中将は、抗議に向かった安慶田光男副知事に「なぜ抗議されねばならないのか」と声を荒らげ、「パイロットは住民や住宅に被害を与えなかった。感謝されるべきで、表彰ものだ」と開き直ったという。この模様は「NEWS ZERO」や「ユアタイム」も含む14日夜の全ニュースが大きく扱ったが、そのなかで「NEWS ZERO」の村尾信尚が「オスプレイの機体の安全性と同時に、米軍の組織の信頼性が問われる」と述べたのと、後藤謙次が「今回の事故は、政府が沖縄ともっと向きあえという警告、警鐘だ」と語ったのが、最も本質をついていた。なお同じ日、別のオスプレイも機体の不具合で基地内に胴体着陸した。「報道ステーション」はこれを項目のトップにおき、優れたニュースセンスを見せてくれた。

●現地取材したのはNHKとTBS 地元記者の活用も視野に入れて

 この事態に翁長知事は15日上京。オスプレイの配備と飛行の撤回を政府に求めた。だがオスプレイは19日、県民の抗議をよそに飛行を再開。このニュースで河野憲治は、「機体の回収作業が終わってもいない段階での飛行再開は、県民感情を無視するものだ。県民に寄り添う形で丁寧に説明しなくては、国と県との溝は深まる一方だ」と警鐘を鳴らし、後藤謙次は「稲田防衛大臣は米軍と接触した形跡さえない。こんなことでは対等の同盟と言い難い」と指摘。星浩は「米軍の説明は丁寧さに欠けるし、それを鵜呑みにする政府にも問題がある。こんなことをしていては、日米安保体制や日米地位協定の根幹にまで不信感がつのりかねない」と発言した。いずれも大事な問題提起だ。

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