「ほぼ日刊イトイ新聞」のおサルのキャラクター、「マルちゃん正麺」のパッケージデザイン等で知られるアートディレクターのデザイン指南書。

 従来主流だった紙媒体がデジタル媒体に取って代わられ、専門知識も不要になる中、デザイナーとして身を立てるのは以前よりずっと容易になったが、その分、センスそのものがいっそう問われるようになったと著者は説く。

 あざやかな色使いを特徴とする著者のデザインセンスが、電器店の電飾がひしめく秋葉原育ちであることの影響だとする視点はおもしろい。

 その他、いかにして人の心を掴むデザインを生み出すか、プレゼンでいかにクライアントを納得させるかなど、経験に基づく実践的なノウハウも満載。時代の推移に柔軟に寄り添うデザインの極意を体得できる。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年12月27日号