書評『学生たちの牧歌 1967-1968』中村桂子著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

学生たちの牧歌 1967-1968 中村桂子著

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村上玄一書評#話題の新刊

 1987年に『とても陽気な胸さわぎ』(沖積舎)を著した著者が、複数の同人誌に掲載してきた中短篇5作品をまとめた小説集。

 表題作は、68年に盛り上がりを見せた全共闘運動が舞台の中篇。67年に始まった都内の私立大学の学費闘争に際し、平凡な学生だった主人公が活動家たちと触れ合い、自らも運動に参加していく。デモや集会、恋愛など、学生たちの日常を描くとともに、特定の党派や立場に染まるのを拒絶し、無色の「ノンセクトラジカル」であろうとした主人公の強さを浮き彫りにしていく。

 ほかにも女子学生の心理を活写した「どしゃ降り」、義父の頑固な生き方や死にざまに触れて、主人公が共感を得ていく「義父の選択」なども収録する。いまの若者たちにも、生き方や考え方の参考になりそうな世界だ。(村上玄一)

週刊朝日  2019年11月22日号


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