書評『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』ブレイディみかこ著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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《話題の新刊 (週刊朝日)》

子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から ブレイディみかこ著

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西條博子書評#話題の新刊

 英国・ブライトンに20年以上住む著者が、保育士として関わった、「全国最悪の水準」にある託児所での見聞録。

 最下層の子どもたちに未来をと一人の女性がつくった託児所で、かつては白人の最下層とインテリ・ヒッピー、それに移民の親子が共生していた。しかし生活保護や失業保険がカットされ、英国人の利用者が激減したのち、とうとう託児所さえもが姿を消す。未来に希望を持てる移民の子どもたちのほうが、英国人最下層の子どもたちよりも幸福に見える皮肉と、貧困の広がり。勤勉で上昇志向の強い移民の母親のスパルタ式育児が、「野蛮な文化圏の人々の児童虐待」とみなされる危険性。子どもがきれいな金色に塗った、「マミイが流しに捨てたビールの色」あるいは「おしっこ」の絵。軽妙な筆致で社会の暗部を鋭く描く。

週刊朝日  2017年9月29日号


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