書評『世界の産声に耳を澄ます』石井光太著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《話題の新刊 (週刊朝日)》

世界の産声に耳を澄ます 石井光太著

このエントリーをはてなブックマークに追加
栗下直也書評#話題の新刊

 著者は自身の子供の誕生を機に世界のお産を巡る旅に出る。子供を産むとは、育てるとはどういうことか。3年をかけ、グアテマラ、ホンジュラス、タイからヨルダン、シリアまで途上国をまわった。

 内戦下で兵士にレイプされ妊娠した女性、HIVの蔓延で両親をなくし、親戚をたらい回しにされる孤児、スラムで金目の物を探し、ゴミを漁る母子。途上国の環境は子育てには劣悪だが、「彼らは絶望することはない」と著者は説く。親にとって子供は希望であり、かけがえのない「未来」であるからだ。

 著者が実感したように子供ひとりの命が持つ可能性は等しく、親の愛情は国を問わず深い。我々が状況が悲惨だと思う時だけ悲惨になる。環境は過酷だが、その過酷さを吹き飛ばす笑顔が紛争地にもHIV病棟にもある。

週刊朝日  2017年7月7日号


トップにもどる 書評記事一覧

続きを読む


関連記事関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい