書評『そして最後にヒトが残った』クライブ・フィンレイソン著/上原直子訳/近藤修解説 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

そして最後にヒトが残った クライブ・フィンレイソン著/上原直子訳/近藤修解説

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谷本束#話題の新刊

そして最後にヒトが残った

クライブ・フィンレイソン著/上原直子訳/近藤修解説

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 現生人類、つまりヒトは約50万年前にネアンデルタール人と分岐、彼らより優れた遺伝子を持ち、知性や適応力で劣るネアンデルタール人を滅ぼしたとされている。はたしてそうか。ネアンデルタール人研究の専門家が初期人類から現生人類に及ぶ人類の存亡を追いながら、ヒトだけが生き残った理由を探る。
 人類はアフリカからユーラシア、アジアへと世界中に住処を広げていったが、それは気候変動に伴う環境の激変のせいだったという。寒冷化で森林は縮小し、ステップや草原が増加。温暖化ではその逆が起こった。そのとき運悪く厳しい環境から動けず取り残された集団は消滅し、うまくよい土地に移動できた集団は長く種を維持している。明暗を分けたのは能力の優劣ではなく、彼らが生き残れる時代・環境にたまたまいたかどうかだと結論。人類の進化をヒトの能力の優位性、特殊性からしか見ない従来の人類学を批判している。
 最新の遺伝子研究ではネアンデルタール人とヒトが交雑していたことが判明した。私たちの中に別の人類が一部なりと生き続けていることに驚かずにいられない。

週刊朝日 2014年2月7日号


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