書評『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい』槙田雄司著 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

アナーキー・イン・ザ・子供かわいい 槙田雄司著

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トミヤマユキコ#話題の新刊

 著者の別名は「マキタスポーツ」。お笑い芸人でありミュージシャンであり俳優でもあるが、本名での執筆活動も盛んだ。このエッセイのテーマは「子育て」。ふたりの女児の父親として、現在進行形の子育てを語っている。
 「よその子が可愛いのは、犬や猫が可愛いのと同じ」であり「我が子の場合はナンバーワンのオンリーワン」であるという指摘は、子を持つ親なら誰しも納得しそうだが、その思いが愛情などという生ぬるいものではなく、一種の「狂気」であると喝破するところに著者の観察眼が光る。彼にとって運動会は「皆が皆、自分の子供を世界の中心とし、他を周辺とする異様な場」であり、自分の子供だけしか見ていない親たちを「狂ってる」などと思いながら、結局は自分も同じ熱に浮かされ「アナーキー・イン・ザ・子供カワイイ」という曲を書いてしまう。「俺の子を可愛がりやがれ!」と歌い上げ、娘とお風呂に入れなくなる日を想像して怯える。狂気の先にあるおかしさはどこか温かい。ここには、格式張った教育書が絶対に教えてくれない親の生態が記されている。

週刊朝日 2013年11月29日号


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