書評『にっぽん全国百年食堂』椎名誠著 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

にっぽん全国百年食堂 椎名誠著

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谷本束#話題の新刊

 おなじみシーナと仲間たちが全国の老舗大衆食堂に突撃、名物メニューをもりもり食いつつ、100年続く店のヒミツを探る食堂ルポ。
 かつ丼、ラーメン、おそばにカレー。なんでもあってお酒も飲めるのが大衆食堂。長く続いているからって絶品のうまさとは限らん、と言いながら一行は「うまい」を連発。イタリアで修業したの食のこだわりがどうの、ご大層な能書きより昔から知ってる味、地元の人が好きな味。みんなが安心する「うまい」がどの店にも充満している。
 しかし、店主はみな淡々としたもの。これまでのご苦労は?と水を向けても「なんにもないねえ」。中にはホントは店なんか継ぎたくなかったとグチる人、大スター・赤木圭一郎のファンで、店内は彼の写真だらけの人もいて、店主の人生が料理にもう一つ、別の味を加えているのが面白い。
 お客さんに喜んでもらおうとヤケクソ的大盛りの店もある。当然、育ち盛りの中高生が上得意だったのだが、昨今彼らが来ないという。ケータイ料金がかさんで金がないのだ。跡継ぎ問題と並ぶ大衆食堂存亡の危機の原因がケータイとは。残念至極。

週刊朝日 2013年3月15日号


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