世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】ゴンザレスが恐れる「集団埋葬地」とは…

フィリピンの首都・マニラのスラム街「トンド」で遭遇した路上カラオケで盛り上がる住人の老若男女(2019年撮影)
フィリピンの首都・マニラのスラム街「トンド」で遭遇した路上カラオケで盛り上がる住人の老若男女(2019年撮影)

■フィリピン人に「家で何してるか」聞いてみた

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「ステイホーム」が呼びかけられている。1~2日程度なら屋内だけで生活するのも問題ないかもしれないが、それがずっととなると話は別である。精神的に厳しいものがあるが、各家庭では様々な工夫をしてなんとか乗り切ろうとしているわけだ。それは日本に限らず、諸外国も同様である。

 都市封鎖された国の友人に、「そっちの様子はどうです?」とメッセージのやりとりをすることがある。するとあれこれ教えてくれるのだが、分析してみると各国の色が出て興味深い。今回はそのなかの一つ、フィリピンに住む友人の「時間のつぶし方」を紹介したい。

 フィリピンでは、“独裁者”とも揶揄されるドゥテルテ大統領が、「外出したら射殺する」とかなりきつめの脅しをかけたことがニュースとなった。規制の仕方の是非についてはさておき、現地ではどうやら外出制限が徹底されているようである。「さすがに厳しくないですか?」と友人に聞いた。

「そうですね。さすがにまずいと思ったのか、『すぐに射殺はしない、その前に警告を何度かする』と警察が発表しました」

 どうやら銃を向けることについては本気のようだ。ちなみに、ロックダウン下の日常生活では外出には許可証が必要だ。それ以外の人は家に残らなければならない。もともと交通渋滞のひどいマニラでは、ナンバープレートの末尾が偶数か奇数かで、車を使える曜日が割り振られている。国民は行動を制限されることに慣れているのだ。そのため今回の強制的な自宅待機も、素直に受け入れられているようだ。

 さて、彼らは自宅でどのように時間をつぶしているのか。若い人はスマホゲームやネットサーフィン、それ以外では「自分のダンスをTik Tokに投稿する」(友人)のだという。明るくノリのいいフィリピン人の国民性が出ているように思う。

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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