南米に生息する「メガネカイマン」というワニ(撮影/上田耕司)
南米に生息する「メガネカイマン」というワニ(撮影/上田耕司)

 生き物系の人気YouTuber・鰐(わに)さん(32)が4月20日、埼玉県深谷市に「深谷爬虫類館」をオープンした。鰐さんのYouTubeチャンネル「ちゃんねる鰐」は登録者数が85万人を超え、爬虫類系ではトップクラスの人気を誇る。「深谷爬虫類館」にはワニ、ヘビ、大トカゲなど、およそ100種類の生き物が飼育されているというが、一体どんなところなのか。爬虫類にはほぼ縁がない記者が、怖いもの見たさで、オープンしたての爬虫類館を訪れてみた。

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「このワニはヤバいですよ。本当にパワーがすごいんで、人間の腕の1本くらいは食いちぎるかもしれない。危険なので、お客さんからの餌やりはできないんですよ」

 鰐さんは笑いながらこう話す。館内に入るなり目についたのが、水槽にいた2匹のワニだった。

 このワニは南米に生息する「メガネカイマン」のオスとメスだという。水槽のガラスの厚さ2センチちょっと先で、ワニは水面から頭を出し、こちらをにらんでいる。もしワニに餌をやろうものなら、本当に大きな口に腕が吸い込まれそうだ。

 そんなワニだと、共食いしたりはしないのだろうか。鰐さんは水槽の鍵を開けながらこう話す。

「それは、全然ないですね。仲のいい夫婦なんです。ワニは危険な生き物なので、保健所から特別な許可をもらわないと飼育できない。何匹飼えるかも決められていて、厳重に鍵をしなければいけません。以前に卵が産まれたこともあるんですが、無精卵でした。保健所からは繁殖させないでくれと言われているので、もしも有精卵を生んだ場合は破棄しなければいけないんです」

 メガネカイマンやワニガメなどの特定動物は埼玉県の保健所に許可を得て飼育をしているという。

水槽の中を泳いでいる魚はいずれ食べられてしまう(撮影/上田耕司)
水槽の中を泳いでいる魚はいずれ食べられてしまう(撮影/上田耕司)

 ワニの近くを赤や黄色のニシキゴイが数匹、泳ぎまわっている。不思議な光景なので、「共存しているんですか?」と聞くと、鰐さんは首を横に振った。

「ニシキゴイはいずれ、メガネカイマンに食われちゃいます。養殖場であまり模様のよくないニシキゴイが安く売られているので、それを買って水槽に入れています」

 やはりそうなのか……なんとも複雑な気持ちになる。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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ヘビの感触はまるで大福餅