男性を主な顧客としてきた格安ヘアサロン
男性を主な顧客としてきた格安ヘアサロン

 男性を主なターゲットに、低料金で、手早く髪を切ってくれる格安ヘアサロンでいま、女性客が増えているという。専門家は、女性がヘアサロンに求めるものが変わり、「安価で、理想の髪形になりたい女性」が増えていると見る。顧客の変化に、業界も対応しつつあるという。

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 東京都のJR武蔵境駅の高架下に広がる商業施設に、ヘアサロン「QBハウス」が店舗を構えている。QBハウスは、キュービーネットホールディングス(HD、東京都渋谷区)が手がけるヘアカット専門店。「10分の身だしなみ」というコンセプトを掲げ、主に男性客をターゲットに、カットのみで短時間、低価格のサービスを提供している。 

 夕方になると、帰宅途中の男性サラリーマンで店内はいっぱいになる。しかし、20代の女性客も数人訪れていた。実はこの店舗は、都内で最も20代の女性が多い店だという。

 QBハウスを利用したことがあるという20代の女性は話す。

「毎月美容室へ行っていたら高くつくから。メンテナンスカットとしてよく利用をしている。的確に指示をしたら、ちゃんと要望に応えてくれて。美容室で切ったヘアスタイルを維持できました。女性のスタイリストさんもいて、安心する」

 また、東京・二子玉川にある複合施設「二子玉川ライズ」に店舗を構える格安カット店「FaSS(ファス)」では日曜日の夕方、3組の家族連れが訪れていた。こちらもキュービーネットHDが展開するヘアサロンだ。来店した30代の女性はこう話す。

「3歳の息子の髪が伸びてしまいまして。旦那もちょうど切りたいと話していて、私もついでに切ってしまおうかなと思い、来ました」

 カットにかける時間は10分ほど、カット代は千円台という戦略で店舗を増やしてきたQBハウス。2022年6月までの集計で、国内に591店舗、さらにシンガポールや香港、米国などにも進出している。ファスはQBハウスの姉妹店で、シャンプーなしでカットのみの部分はQBハウスと同じだが、ファスはスタイリングまで行う。かかる時間は20分ほど、料金も2千円台に抑えている。

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